第五列/社長が出せって言えば出すから(the early fifth column)
CD(アルケミー)¥2800

第五列とは、1970年代後半から1980年代前半にかけて、京都・東京・盛岡などを中心に音楽、詩、美術などに変わった興味を持つメンバーによって活動していた、非常にユニークなグループである。いわゆるバンド、もしくはミュージシャンという形態ではなく、「なにものでもないもの」として第五列は存在しており、ミニコミや、テープ、レコード作品などを発行していた時期もあった。当時の活動を知る人は素来なく、今ではマニアの間で語られる程度の認知度であったが、アルケミーレコードが第五列の初期音源集「社長が出せって言えば出すから(ARCD-128)」としてCDリリースした。
 この第五列は現在も都内で「チヨズ」というユニットで活動をしているgeso氏、盛岡在住のフリー・インプロヴァイザーのオニック氏が中心メンバーとして運営されていたもので、当時京都に在住していた非常階段、ウルトラビデなどのメンバーもセッションに多数参加していた。それらの録音源はこのCDにも収録されており、非常階段結成以前の録音テイクも聞くことができる。 
内容的にはノイズ、アヴァンギャルド、フリージャズなどをベースに、奇っ怪なラジオドラマ、パロディ、騒音などを巻き込んで、得体のしれない不可思議な音世界を構築している。詳細で難解な解説(英語対訳付き)も付録されている。ユニークなアルケミーレコードの作品群の中でも、第五列は最もヘンで極めつけに面白いアルバムと言える。

text/JOJO広重