自分BOX with ララボンゴ


タイトル●

自分BOX
発売● FALL
形態● CD

番号●

FALL-04

制作●

2002年

定価●

2000円(税抜)
人というものは、プレッシャーがかかって切羽詰ると、とんでもない事を言ってしまうものである。

自分BOXと名乗る関西在住の女性マイコは、常にいっぱいいっぱい状態のまま生きてる切ない感性をこの作品に充満させている。

爆発のさせ方が自閉的で自分に全てが覆い被さってくるから、なんとも赤裸々であり素直過ぎて、その歌詞に笑ってしまっていいものか気を使うが、まず大笑いしてあげるのが聴くものの務めと言っておこう。

笑った後に、必ずズシンと心に引っ掛かるモノを残してしまうのである。それは彼女を笑うという事は、自分の中の”せつなさ”を笑う事という真理に気付くのである。
多かれ少なかれ誰しも彼女の資質は抱いている、しかしなかなかこうは表現できないコロンブスの卵なのである。

肉食 (作詞 嶽本野ばら 唄 マイコ)

ラフレシアの咲く森で 僕は君を見つけた
仲良しになるつもりなんて無かったのに 君と僕は仲良しになった
乾燥した豆でネックレスを作ってプレゼントすると
君は珍しいきのこを沢山くれた

また明日会えるのに さよならを言うと寂しくなった
会う度にその気持ちは増えて ある日一緒に夜明かししようと決めた
寄り添って大きな木の下に座りながら 手を繋いで過ごしたね
お腹がすいたけど我慢した 我慢した とても我慢した

どうして人食い人種になんて生まれて来たのだろう
どうして君を食べてしまったのだろう
どうして我慢が出来なかったのだろう
君がいなくなることはもっと耐えられないのに

骨だけになった君は もうさよならさえ言ってはくれないよ

僕の中から君を出ていかすまいとおもい 君の頭蓋骨抱き締め 
うんこをしたいのを我慢した とても我慢した

どうして人食い人種になんて生まれて来たのだろう
どうしてうんこをもらしてしまったのだろう
どうして我慢が出来なかったのだろう
君がうんこになることはもっと耐えられないのに

うんこになった君は 面影なくして蝿がたかり臭いよ

どうして人食い人種になんて生まれて来たのだろう
うんこは干乾びて大地に帰るだろう
思い出はいつか薄れ僕はまた誰かを好きになるのか
そしてお腹がすいたならペロリと食べてしまうのか

愛が無くても生きていける ご飯を食べなきゃ死んでしまう
それが人食い人種 気にしちゃいけないと どうして大人達は言うのだろうか
またお腹がすいてきた もっと強くなりたいのに

5曲目に収録されてる、彼女の友人という嶽本野ばら作詞の「肉食」という凄まじく切ない不条理なるがゆえの愛の歌を、彼女はヘタクソで訥々な唄で表現として出色。
そして、全ては自分の責任として逃げていないのが心を打つ。

文 渡辺正 2004/6/3