第129回
”KILLING JOKEは格好良い” の巻

最近、いろんな音楽を聴くのに挑戦しています。
127回で書いたように、デスメタルは面白いのですが、原点の一つゴシックというのか、ポジパンからハードコアへの橋渡しをした重要なバンドを忘れているのではないかと思い、気がふれたように聴きまくっているバンドがあります。

そのバンドは 『 KILLING JOKE 』 です。

彼等の、おそらく初期からのファンである自分としては、今までだったらもう全部音源を揃えているから今更買わないようなブートレッグシリーズに手を出してしまいました。
もっとも、３枚組で２２００円〜２４００円なんで、一枚あたりで考えると、当時購入したブートレッグ一枚分にも満たない価格です。
バンドが正式に発売しているので、なんか面白いのです。
音は、最低のものから、最高のものまであります。
ライブ的には一つのライブが１６曲で４３分ぐらいの激しいライブばかりです。
とくに、個人的に思い出深い、「ロンドン・ライシアム」のライブやヴィクトリア駅前にあった「ヴェニュー」でのライブは、初期の彼等らしくて最高な気持ちです。

なにしろ暴力的でこちらを圧倒させてくれます。

同時期の、サイケデリック・ファーズも同じように出してくれると面白 いのに。
因に、ニック・ケイブのいた The Birthday Party のライブも桁違 いに格好良いです。
（こちらは、正式盤で出ているので購入を勧めます）

この３バンドは、１９７９年から１９８２年まで完全にイギリスのハードコアと同調して、暴力的で前衛的な音を、これでもかという程出していました。
DISCHARGEは今でも『伝説的』に語れ継がれているけど、ハードコアを当時聴いていたほとんどの人は ” WHY ” と同時に上記のようなバンドを聴いていたんです。

The Smiths の登場により、よりイギリス的（彼等の歌詞は Sex Pistols を超えている）な感情と、アメリカへの情景を凄くうまく組み合わせた音楽に移行して行き、現在のギターポップという ”簡単なくくり” で語られることの多い音楽になるけど、The Smiths にしても、立場はハードコアであり、それはコンフリクトの曲からインスパイアーされているアルバムを出していることからも明白だと思う。

さて、話を戻して KILLING JOKE のアルバム。

２種類出ていて、Vol.1は上記のライブと、１９８８年ロチェスターホールでの正式音源。
Vol.2は１９８０年のデモ音源（これがまた最高の出来）と、８４年のツアーのライブ。
そして、目玉は PIG YOUTH が加入した９４年の 「ロンドン・アストリア」 のライブ。
これを聴くだけでも、個人的な価値はありました。

それにしても、一方的に暴力的な音を出し続ける彼等のライブ。
今年、冨士で「イドラ」を見て興奮した時と同じような感じ。
日本のバンドは、ある意味では純粋培養されたパンクロックの本来の姿が続いているのかもしれない。

なんと素晴らしいことだ！

2007/8/3