第159回
”新譜” の巻


最近、ビートルズが ”デジタル・リマスター” されて、再発されています。
音楽業界は新しいものが売れないと、昔から過去の作品を再発しては商売を続けているのです。
まあ、その典型がビートルズです。

パンクだと、THE DAMNEDの一枚目が典型ですね。
(まあ、THE DAMNEDの場合、音を変える必要のない作品なので付録満載ばかりですけどね)

じゃあ、レコード盤で持っているアーティストが、最初に発表した時の音づくりは満足のいく状態でリリース出来なかったのか?といえば違うような気がします。

発表した時の感情は、一番最初のレコードに入っている筈です。
まあ、バンドの場合、全員が同じ感情なんていうことはないので、全員が各々を思いやって、バンドとして最高のものをリリースする選択をしている筈です。

だから、リマスター盤はバンドメンバーの一人が何らかの形で主導権をとって、時々の流行の音に変化させて行くことが多いような気がします。

今回のビートルズなんかは、個人的にレコードで聴いていたものとは別の、”ビートルズじゃないビートルズ” になっているような気がしています。

肌触りが何となく違う。

いままで聴いていた、肌に染み付いた感覚から、離れた今様の流行ものにしているだけに感じています。

もっとも、今回のリマスター盤の発売で音楽誌は特集を組み、テレビも特集を組んで宣伝をするので需要喚起出来るんでしょうが、こんなことばかりやっていては、新しいリスナーを見つけることは難しいでしょう。

我々の世代が学校に行って掃除道具で暴れていた時のような、爆発する感情をもたらしてくれる音楽が、いまもある筈なのに、そのことに気がついていないようでは、戦略的な明日を考えることは出来ないんじゃないかな。

じじいばかりを狙った商売ばかりしているんじゃあ、かつてジャズをバカにしていたロック世代も同じじゃないか。

保守的なロックなんて、全く魅力がないよ。
別にいい音じゃなくてもいいので、歪んで、軋んで、ぶっ飛んで、爆発して、暴れたい。

それこそ、大好きなロックの姿です。

2009/10/5