第165回
”2009年の再発” の巻


毎年、いろいろな新譜と同じように過去の作品も発売され、喜びと同時にどうして「新譜としてリアルタイムでリリースしなかったんだろう」なんていう想いになるようなものも、多くあります。

2009年は、発見された音源に注目していました。
先ず、Siouxsie & The Banshees の『AT tHE BBC』ボックスセットです。
なにしろ小出しに出されていたBBCセッションが、時系列で聴けるから嬉しいことこのうえないです。
3枚のCD+1枚のDVDなんて、出る前からよだれを垂らして待っていました。
77年から79年にかけての音と映像は、パンク大好きな私にとって、恍惚のひとときを与えてくれます。
パンクロック・ムービーを観るのと同じように、興奮です。

このボックス同様に凄いのが、『非常階段 30周年 30枚ボックス』です。
聴くのに、体力と気力が必要です。
でも、この音じゃないと伝わらないものがあるから凄いんです。
原爆が非常階段と一緒にやる度に感じることの出来る、至福の感覚が30枚にわたって入っています。
どこを、切り取っても個人的には共有できるものです。

これは、理屈で言い出すよりも、心のつながりですね。

初期衝動という便利な言葉がありますが、30年もそんなもの続かないから、どういった表現をすれば良いんでしょう。

連続衝動か。

でも衝動ではないような気もする。
「表」という字がいいな。
世界観として、裏なんだけど、表だよな。

他には、The Cult 『Love』 のボックスセットもブックレットが良くて、お気に入り。
Colosseum の4枚組 『Morituri Te Salutant 』 も驚きの連続でした。

こうやって、再発ものを聴いていくと、バンドの格好よかった一瞬をうまくとらえた作品が発見されて出てくると、聴くものとしては嬉しいことがよく分かった年ですね。

2010年は、どんな発見があるんだろう。

2010/4/18