第209回
命・愛・後悔の巻


あまりにも、凄いライブを観てしまった。


正直なところ、全く期待をしていなかった。
どうせ再結成したバンドなので、”まあそれなりで、知っている曲をやってくれればそれで良い”と思っていただけに、完全に”ごめんなさい、私が甘かったです”と平謝りしたい気持ちだ。


そのバンドは、UNBROKEN。
アメリカ合衆国のカルフォルニア州サンディエゴ出身のバンドだ。
バンドとして精力的に活動していたのは、1991年〜1995年。

当時のメンバーは、

Dave Claibourne(Vo)
Steven Andrew Miller(G)
Eric Allen(G)
Rob Moran(B)
Todd Beattie(Dr)

の5人。

活動期間に2枚のアルバム
『RITUAL』(1993年)
『LIFE. LOVE. REGRET.』(1994年)
をリリースしている。

解散後の1998年にギターのEric Allenが亡くなり、残る4人が追悼で一度再結成したが、その後は断続的な再結成のイメージがあった。
だから、よくあるハードコア・パンクバンドの再結成と同じだろうと思っていた。


そのうえ、かつて『LIFE. LOVE. REGRET.』を初めて聴いた時に若干メタルっぽいギターの音や遅めのビート感覚から、JudgeやYouth Of Todayの西海岸版と勝手に決めつけていたこともあり、いわゆる”ニュー・スクール・ハードコア・パンク”のバンドの一つとして頭の中に入れていただけだった。


ところが、今回ライブを観たら、そんな勝手な思い込みは全く違っていた。

ジャンル分けとして便宜的に使う”カオティック・ハードコア”そのもの。
それも”激情”型のエモーショナル・ハードコア。
現在使われている商業ベースの”エモ”とは次元の全く異なる、本来的にそのようなジャンル分けをせざるを得なかった”エモ”だ。
先ず、ギターの音がパンクなのだ。

ガリガリでザリザリ。

もうここで、ノックアウト。
その刻み方がハイピッチで荒い。
腰下まで目一杯下げたギターをひたすら豪快に超高速で叩くように刻んで行く。
ギブソンのレスポールっていうのも格好良い。
例えるならば、ジョニー・ラモーンのようなギターの低さで、ザ・クラッシュのミック・ジョーンズのような格好の人がジョー・ストラマーのようにギターと格闘する感じだ(訳が分からないって?)。

次はドラム。
目の前で観ると、難しいことはやっていない印象を受ける。
ただ、アクセントの付け方が絶妙。
そのビート感覚が、巷のバンドと一線を画しているところだ。

SUEDE(イギリスのバンド)のTシャツを着たベースはもっと凄い。
なにしろものすごいウネリ。
キリング・ジョークのユースみたいに図太い輪郭の音像だ。
フレットレスのベースを弾いて入るんじゃないかと一瞬思わせる程だ。

最後は、ヴォーカル。
ステージに上がるまで”普通のおじさんじゃないか”と思っていたのだが、マイクを持った途端パンクのヴォーカリストに風貌が一変。
声はよく出ているし、動きもシャープ。
スウィッチが入ったら、キレキレのパンクなんだ。


個別に書いていくと”普通のバンドじゃん”と思うかもしれないが、4人揃った状態で観ると全く別の感想になる。
何しろ、音の塊が身体に突き刺さってくる。
FUGAZIがそうであったように、放射状にあらゆる角度から飛びかかって来る。
ギターがボディーブローをしてくるかと思えば、ベースが足下をすくいにくる。
ヴォーカルが頭を抑えてくるかと思えば、ドラムは背中を押してくる。
身体全身、注意していないと潰されてしまうような音の塊が襲ってくる。
UNBROKENは完全に現在進行形の現役バンドなんだ。


ライブ終了後、メンバーと話していたら、いろいろ分かって面白かったので、付録です。

先ず、ベースのRobとの会話から。
この人、とても当たりの優しい感じのするナイスガイです。

ライブ前に、自分から自己紹介をして、”日本のパンクバンドで好きなのは、Lip CreamとGastank”と話を振って来て、会話をしようとするタイプ。
UNBROKENのライブを見終わった後、Robに”私の大好きなサンディエゴのバンドSome Girlsを思い出させた”と言ったら、なんとそのRobがSome Girlsのギターだったことが分かって、びっくり仰天。
その上、NarrowsでBotchのメンバーとやっているんだって。

もう、現在進行形のハードコア・パンクロックの重鎮じゃないですか!

考えてみたら、Swing Kids〜The Locustへと続くカオティック・ハードコア・パンクロックのスタートはUNBROKENでした。
事前にもっと予習をしておけば、いろいろ聞くことが出来たんですが、何しろ冒頭のような気分で臨んでいたので、甚だ失礼千万だったのです。

ギターのStevenはエモっぽいバンドをやっているとのことだし、ドラムのToddはDrive Like JehuやFugaziが好きなんだって。
これで、なぜ私がノックアウトされたのか分かって来た。
だって、ライブ前の楽屋に入った時の雰囲気は自分のバンドと同じだったからね。


いやあ、今回はミーハーなレポートになってしまった。
たまには、こんなのも良いよね。

2014/11/13

 

   

・・・・・・・原爆のライブ予定・・・・・・・ 

12月06日(土)大阪 心斎橋BASSO     
Banana hall 復活記念企画
REAL BEAT GIG vol 113-fes
共:THE Ballad、首振りDOLLS、C'MONS、Kastrick Bacteria、アキラモンズ、他 
open13:00 start13:30 
adv\2500  door\3000


2015年

1月17日(土)名古屋 HUCK FINN
TASTE PRESENTS! Live Aktion 3 「名古屋殺炎上!!」
共:COPASS GRINDERS、discotortion
OPEN18:00/START18:30 
\2,000/¥2,500(DRINK別)    


2月11日(祝:水)名古屋 Club Quattro
お年玉GIG 2015