第222回
最近好きなバンドの巻 その3 


レーベル買いの経験は誰でもあると思う。

日本のパンクだったら、ゴジラやテレグラフから始まりAlchemyやSelfishを経てMCR、HGやBloodsuckerかな。
海外だと、イギリスのStiff、Beggars BanquetやRough TradeにFactoryといった感じか。

そのレーベルがリリースする作品を総て聴いていたいと思ったものだ。

最近だと、Southern LordやHydra Headはマメに聴いていた。
一枚、気に入ったアルバムに出会うと、そのアルバムを出しているレーベルのバンドを聴きたくなるものだ。


2014年、衝撃を受けたアルバムの一枚に『NOTHING/Guilty Of Everything』があります。

何が驚いたかって、メタルなのにシューゲイザー。
このアルバムを聴いたことで、このアルバムを出したRelapseに対する認識を新たにすることになった。

そして、2015年。
うるさい音で興味を持ったアルバムのほとんどがRelapseからリリースされたものだった。
このレーベルと波長が合っていたようだ。


2015年、海外のうるさいバンドで最もよく聴いたのが『Windhand / Grief’s Infernal Flower』。

彼らが2013年にリリースしたセカンドアルバム『Soma』も聴き漁ったから、3枚目となる今回のアルバムも期待値は高かった。

そして結論から言えば、期待値をはるかに超えた作品だった。

彼らの特徴は、メタリックかつノイジーな凶暴さを兼ね備えたスラッジ・ドゥームな音に女性ヴォーカルがゆらゆらと乗っかるところにある。

魔女がささやくような声の持ち主、Dorthia Cottrellのヴォーカルは悪魔的ダミ声の女性ヴォーカルが主流のこのジャンルにおいては際立って異質な存在。

2009年にスタートしたWindhandは、Alabama Thunder Pussyのオリジナル・メンバーだったAschiah Bogdan(Gt)やCoughのParker Chandler(Ba)といったツワモノから成る5人組。

今回のアルバムは、前作のスラッジ・ドゥームを前面に押し出した曲作りから、幾分オルタナティブなロックテイストが付加されている。

これは、レコーディングの場所が西海岸のシアトルに変わったことや、プロデュース/エンジニアにグランジを作り出したJack Endinoを迎えたことの効果かもしれない。

同じようなタイプのバンドSub Rosaがゴシック・テイストを感じさせるのに対し、Windhandは地べたを這うような、ひたすらヘヴィーで重たい音に特徴があるが、今作はDorthia Cottrellの透き通った声のヴォーカルが活き活きとしている。

フォーク・シンガーとしてアルバムを出しているDorthia Cottrellをフューチャーしたアコースティックな「Sparrow」と「Aition」が入っているため、聴き終えた時に、疲れた感じがしない。

とは言っても、基本はドロドロのスラッジで、その上後半は14分超えの曲続くから、体力のない時に聴くのはきついアルバムということを忘れないでほしい。

因みに、このアルバムはConsequence Of SoundのTop 25 Metal Albums Of 2015で、High On FireやDeafheavenを抑えて1位に輝いていることを付け加えておこう。


Windhandと同じように聴いていたのが、デンマーク人女性によるプロジェクト、Myrkur(ミシュクル)のアルバム『M』。

ジャンルとしてはブラック・メタルになるらしいのだが、個人的には1970年代のCurved Airを現代的に蘇らせるとこんな感じになるのではないかと、ひいき目かつ好意的に解釈している。

何しろ、ソーニャ・クリスティーナを想わせるような透き通った声は、ニューエイジ/アンビエントな静かな曲で最大級の威力を発揮するのだが、メタル色の強い曲でも効果は絶大だ。

全体としては、ポスト・ロックの色合いが強いので、メタルが苦手な人でも、進化したプログレと聴くことができると思う。


続いて、HawkwindのBoxSet『This Is Your Captain Speaking』を春先に手に入れて、独特なスペース・ロックの世界に日々浸っていた時、インターネットで偶然耳にした Ecstatic Vision っていう全く知らないバンド。

曲は古臭いのだが、音が新しいから今のバンドなのはすぐに分かったのだが、得体が知れないから気になって仕方なかった。

その音は、ハードロックやプログレッシブロックがまだ ”アートロック” って呼ばれていた頃の雰囲気だ。

どう聴いたって ”Hawkwind好きでしょ!” としか言いようのない、一本調子でサイケデリックかつスペイシーな音。

ヴォーカルの声に至っては、レミー直系のダミ声。

ファーストアルバム『Sonic Praise』を手に入れたら、CDの盤面が初期Vertigoそっくりな ”渦巻き” で、そのセンスに脱帽。

ここで、好感度が急激に上昇。

音は、Hawkwindだけじゃなく、UFOのセカンドアルバムみたいな宇宙系なハードロック。
その上ドイツのハードロックバンドJeronimoのような無骨な音をしている。

このバンドを紹介する時、一般的にはスラッジ系のメタルの範疇に入るんだろうけど、ジャンルの枠を取り払って聴くと新しい発見が満ちて来るから面白い。

12分を超える「Astral Plane」は、CANやGURU GURUがSantanaと融合して、レミーが乱入したかのような極悪なサイケ感覚がたまらない。

”幻のレコード” になること間違いないような独特な音をしているから、気になる人は今のうちに入手することを勧めます。

おそらく、廃盤になった後中古で手に入れることは、困難になること間違いないので。


それにしても、洋楽のリリースがほとんど無い中、リラプス・ジャパンはしっかりとフォローしてくれている。

このようなレーベルがいるからこそ、日本の地下シーンも活性化されるんだ。
ジャンボくん、これからもよろしくね。

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“2015年良く聴いたもの” の巻


こんな感じで、3回に分けて最近好きなバンドを書いたので、最後に(遅くなったけど)毎年やっている、2015年の好きなアルバムを10枚列挙しておこう。


Sauna Youth / Distractions
Wand / Golm
Protomartyr / The Agent Intellect
Girlpool / Before The World Was Big 
Autobahn / Dissemble
Windhand / Grief’s Infernal Flower
Ecstatic Vision / Sonic Praise
The Lovely Eggs / This Is Our Nowhere
Slaves / Are You Satisfied ?
Viet Cong / Viet Cong


あっ、メジャーなものが入っていない。
The Maccabees / Marks To Prove It ・・・XTCが好きな人向きな音楽です。
全英ナンバーワンになったアルバム。


海外のバンドは、こんな感じかな。


日本のバンドは、2014年末から。


鉄アレイ / W
Extruders / 8 Queens
Demolition / Bombenhagel
S.H.I / S.H.I
Envy / Atheist’s Cornea
Birushanah / 魔境
非常階段 x 大友良英 / Noise Join Inn
Ele-Phant / Tobira
Nepenthes / Scent
Phew / A New World


地元のバンドがDemolitionだけでは寂しいので、特別枠で。
Dub 4 Reason / Anarchy And Dub
Killerpass / まわりたくなかない
ギロム / ギロムとは何か


シングルは、
Terror SquadとSwarrrmのSplit
The Noup
Corrupted
がすごかった!


こうやってみると日本のバンドを多く聞いていたんだなあ。


今年も新しい出会いに期待しようっと!

2016/2/23

 

 

・・・・・・・原爆のライブ予定・・・・・・・

3月12日(土)東京
 【SHOWBOAT 2MAN SERIES】 the原爆オナニーズ vs ギターウルフ

開場 18:30 /開演19:00
前売り 3,000円 当日3,500円(別途ドリンク代)
*TICKET LAWSON TICKET,e+,ShowBoat
■問合せ:ShowBoat 03-3337-5745/info@showboat.co.jp


3月26日(土)名古屋 Red Dragon
Violent Action
共:鉄槌、SUTU、GRUSOME、RATPACK 454、AGGROKNUCKLE
開場17:00 開演 18:00
前売り2000円 (別途ドリンク代)  


4月9日(土)大阪 パンゲア
agartha20160409
共:Burl、The China Wife Motor、ほか
開場18:00 開演 18:30
前売り2500円 /当日 3000円(別途ドリンク代) 


4月17日(日)名古屋 今池ハックフィン
玉 Rock 2016
共:South Bound、Killerpass
愛知琉球エイサー太鼓連
ビビビ
ファンカデリックセンター今池
松原大
開場15:00 開演 15:30
前売り3000円 /当日 3500円(1ドリンク+お土産付き) 
 


5月14日(土)東京 高円寺Show Boat
感乱射
共:MOSQUITO SPIRAL
ANGER FLARES
-DJ-ISHIKAWA(DISK UNION/a.k.a.TIGER HOLE)
開場 18:30 /開演19:00
前売り 3,000円 当日3,500円(別途ドリンク代) 
*TICKET sale ... 3/12〜LAWSON TICKET,e+,ShowBoat
■問合せ:ShowBoat 03-3337-5745/info@showboat.co.jp