第234回
”2016年に聞いた音楽”の巻


今頃になって、昨年の総括をしていないことに気がついた。
いつも、”パンクだ・パンクだ・パンクしかない” みたいに言っているけど、昨年よく聞いていた音楽は、イギリスのフォークだ。

いわゆるブリティッシュ・トラッドを聴いていた。

きっかけは、一昨年に手に入れた『Dust On The Nettles』っていう3枚組のオムニバス・アルバム。

1967年から1972年までの、イギリスのアンダーグラウンドなフォークを集めたこのアルバムを聴いて、フォーク熱が再発した感じだ。

何が面白いって、枠がない。
これは、パンクとほぼ同じ。
実験的で、前衛的なものが、多くあることを思い出した。

そんな時に出会ったのが、アメリカのSub Popがリリースした、Heron Oblivionのデビュー・アルバム。
もちろん、アメリカのバンドだ。

最初の一曲「Beneath Fields」を聴いただけで、”これは、Fairport Conventionみたい” と魅せられてしまった。

女性ヴォーカルの声が、Sandy Dennyに似ている。

そのうえ、サイケデリックなギターがまた良い。

新人バンドなのに、なんか奥が深いその音は、どんな人が出しているんだろうと調べたら、実は現行のアメリカのサイケデリック・ロックの精鋭が集まったスーパーグループだった。

ヴォーカルとドラムスのMeg Bairdは、フィラデルフィアのサイケデリックなフォークバンド、Espersで活躍していて、Drag Cityからソロアルバムを出している。

2000年代のフォークって言われているジャンルのキー・パーソンの一人だ。

ギターの Noel Von Harmonson とベースの Ethan Miller は、カルフォルニアのサイケデリックなノイズ・ロックバンド Comet On Fire の元メンバー。
もう一人のギター Charlie Saufley は、ハードロック系の良質なレーベル Tee Pee からアルバムを出している Assemble Head In Sunburst Sound のメンバー。

そのサイケデリックでフリーキーでアーシーな音は、やっている人の素性が分かると、納得してしまう。

音源を聴いていると、儚い女性ボーカルとぶっ飛んだギターの音が交錯していくドラマチックな音なので、ライブは Jefferson Airplane や Quicksilver Messenger Service みたいに、スモークを焚いてライトショーでもやってそうだなと想像を膨らしていた。

手っ取り早く、インターネットでライブ映像を探すとすぐに見つかった。

気取りも、ハッタリもない風情の4人が普通に登場して、やりたい放題のライブをやって帰っていく。

あまりにも、普通のライブに却ってびっくりしてしまった。

とは言っても、グワングワンしたギターの音はライブでもスタジオ録音以上の爆発力があり、CDを聴いている時にはあまり気がつかなかったベースの存在感たるや、驚異的だ。


今年3月に、日本の ”レコード・コレクターズ” 誌が特集した ”ブリティッシュ・ハード・ロック” も夏以降よく聞いていた。
こちらも切っ掛けがあって、イギリスで出た3枚組のアルバム 『I’m A Freak Baby』 を聞いていたからだ。

サブタイトルが ”A Journey Through The British HEAVY PSYCH And HARD ROCK Underground Scene 1968-1972” というもの。

80分近く3枚に渡って、ブリティッシュそのものと言わざるを得ないような、重たいロックが次々に繰り出されるんだから、好き者にはたまりません。

Creamは入っていないけど、Fleetwood Mac と Taste は入っている。

Deep Purple と Uriah Heep は入っているけど、Black Sabbath は入っていない。
Led Zeppelin が無い代わりに The Yardbirds が有ったりする。

もうマニアックな世界そのもの。

48バンド中10数バンドは名前すら知らず、初めて聞いた。

このアルバムの面白いのは、無名のバンドを探し出してきたことよりも、今のギター系のヘヴィー・ロックと同じテイストを持ったバンドに焦点を当てていることだ。

勝手にポップなグループと思い込んでいた The Move が、ヘヴィーなバンドの中で全く違和感が無いことは、新たな発見。

個々のバンドは知っているけど、大きなくくりでシーンを見ると、違った見方ができるところは、このようなオムニバス・アルバムの魅力と言える。


こんな感じで、いろいろ聴いていたのだけど、年初から新譜でガツンと来るものが多かった。

Tindersticks / The Waiting Room
Savages / Adore Life
Super Unison / Auto
Heron Oblivion / Heron Oblibion
Nothing / Tired Of Tomorrow
YAK / Alas Salvation
Freakwater / Scheherazade
Eagulls / Ullages
Fat White Family / Songs For Our Mothers
Minor Victories / Minor Victories

上記がベスト10といったところかな。
Tindersticks は久しぶりにバンドらしさが戻って、快心作と言い切れる。

イギリスで観たライブは、映像も一体化した素敵なものだった。

Savages はサマーソニックで来日した時に観たライブで、Suicide の「Dream Baby Dream」をプレイし、7月に亡くなったアラン・ヴェガに捧げていたことも印象的だった。

新人の Super Unison と YAK と Heron Oblivion は、大きな収穫といって良い。

前作が初期の Subway Sect みたいだった Eagulls は、今作で The Cure みたいな音に大変身。
Fat White Family は、Throbbing Gristle を彷彿させる作品。

約10年ぶりに作品を出した Alt-Country のバンド Freakwater は、燻し銀なサウンドをより昇華。

Mogwai、Slowdive、Editors のメンバーからなる Minor Victories(デビューライブをイギリスで見た)のファースト・アルバムは、Nothingのセカンド・アルバムと一緒に初夏に聞きまくった作品。


番外は、Iggy Pop / Post Pop Depression

なんたって Iggy Pop が、現行で一番大好きなバンド Queens Of The Stone Age と組んだんだから、何も言うことはありません。


結構、新譜で良い作品が出ていることに、驚きを隠せない。


日本のバンドでは、昨年手に入れて(一昨年のものも入るけど)聞いたもので。
Jojo 広重 / Triple Echo
Fucker / Fucker
Eternal Elysium / Resonance Of Shadows
Endzweck / Tender Is The Night
VA / Drill Session
VA / Genocide Express From Nowhere
GreenMachine / For The Night And Blood
Nepenthes / Scent
Phew / A New World
Disgunder / Ripping Th The Grind


番外は、GuitarWolf / チラノザウルス四畳半
カセット付きのリリースなんて、思いつきもしなか った。
再発は、チフス、鉄アレイ、The Avoided そしてHellchild が嬉しかった。


今年もまたいろんな出会いがあるんだろうな。

2017/3/17

 

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・・・・・・・原爆のライブ予定・・・・・・・

he原爆オナニーズは今年で35周年。
京都大学西部講堂でワンマンやります。
合言葉は、”5月3日は西部講堂”っていうことで、全世界から集合願います。



4月16日(日)名古屋 今池ハックフィン
玉 Rock 2017
共:South Bound、NOT REBOUND、△、The Souleels、
開場16:30 開演 17:00
前売り3000円 /当日 3500円(1ドリンク+お土産付き) 
■問合せ:ハックフィン
    
4月22日(土)東京 新宿 アンチノック
Antiknock Presents
共:GAUZE、グループ魂
開場 18:00 /開演19:00
前売り 1,700円 当日2,000円(別途ドリンク代) 
■問合せ:アンチノック

5月3日(水・祝)京都 京都大学西部講堂
みんな大好きthe原爆オナニーズ 
結成35周年記念 西部講堂ワンマンライブ

開場 18:00 /開演19:00
当日1,000円 
■問合せ:西部講堂 070-5269-9989