第235回

フジヤマの秘蔵っ子” の巻


フジヤマといえば、三軒茶屋のレコード店だ。

かつて、レコード店というのは”そこに行くと、同好の人と知り合える”特別な場所だった。

そこに何時もたむろしているだけで、なんとなく愉快で楽しい時間になった。

渡辺さんは、そんな人たちをつなぐ、不思議な存在。

私の大好きなフジヤマが作ったレコードに、VId-Sexがある。
フジヤマの秘蔵っ子というべき、特別なバンドだ。
なんたって、フジヤマのVOIDレコードの1番なんだ。

あのEPを聴くと、理性がぶっ飛び猥雑な人間性を取り戻せる。

そもそも、レコードが入っているジャケットが本能のまま、こちらに問いかけてくる。

”お前は、同じ人間か?” と。

これほど、強烈に聴く人間を選別するレコードは、この世の中にそれほど多く存在しない。
拒絶するか甘受するか、それとも受諾するか。

もちろん、私は諸手を挙げて大喜びだ。

そう、このレコードこそ私が日本のパンクの中で最も好きなレコードの一枚だ。

そのVid-Sexのボーカルだった、大岩(オージー)が今やっているバンド、Slip Head Buttがついに新譜を出した。
なんと、今回のアルバムは、10数年ぶりの作品だ。

アルバムのタイトルは『インサート』(Break The Record :BTR-058)。

彼らのライブは、東京に住んでいないとあまり見ることができないから、先ずは音源を手に入れて聴いてもらいたい。

プレーヤーを稼働させると、豪快なロックが、体に襲いかかってくる。

『外道』や『SATORI / Flower Traverin’ Band』を初めて聞いた時に感じた、
”俺が求めているロックは、この訳の分からないガツンとくる衝撃”と同じレベル。

体が無性に動き出す、あの感覚だ。

ヘッドバッギングをしてエアーギターで、飛び跳ねる。
じっとしていることは無理。

Led Zeppelinのファースト・アルバムを聴いた時に、興奮して知らぬ間にテーブルの上で踊っていた時を彷彿させる。
10代初めの頃に、ロックにどっぷりハマり込むキッカケとなった、”説明のつかないなにか”が頭に直撃した、あの感じだ。

ムカチン(Drs.)とユミリン(Ba)が織りなす、あまりにも強靭なリズムは、聴く者を取り憑かせる。
カンとシャムのギターの音は、空間を切り刻んで、新たな宇宙を作り出している。

大岩の声は、暴力的な正気と優しい狂気を交互に行き来しているかのようだ。

英語圏の人が、Led Zeppelinの『U』を聴く時に感じる、ちょっとしたためらいと同じように、
今回のスリップヘッドバットの『インサート』は日本語を駆使している。

ロックンロールって、声高らかに発している。

そして、その言葉は常にもう一つの意味を含蓄している。

8曲入りで30分弱のこのアルバムは、東京から名古屋までの道中、何回も繰り返して聞いても飽きがこない。
60歳を超えたハードロック世代の人から、若いパンク世代の人まで、楽しむことができる内容になっている。

ナベジが世に出した、大岩は今も猥雑で人間味に溢れている。
やっぱり、”フジヤマの秘蔵っ子”だけあるね。

2017/4/17

 

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・・・・・・・原爆のライブ予定・・・・・・・

7月9日(日)名古屋 トクゾー
帰ってきた 七夕の夜
共:S.H.I、DEMOLITION
開場 18:00 /開演 19:00
前売り 2,500円、当日2,800円(別途ドリンク代 500円)


7月23日(日)豊田 豊田スタジアム
Toyota Punk Carnival
共:System Fucker、Never Again、他



8月27日(日)大阪 難波 味園ユニバース
BLACK LODGE FEAST OF BLOOD #4
共:S.H.I. 、BALZAC、マスターベーション、偶像ドロップ他
OPEN 16:00 START 16:00
前売り3,000円(消費税込み・ドリンク代別途)


9月9日(土)東京 
感乱射
共:MOSQUITO SPIRAL、Bomb Factory、-DJ-ISHIKAWA(DISK UNION/a.k.a.TIGER HOLE)
開場 18:30 /開演19:00
前売り 3,000円 当日3,500円(別途ドリンク代) 
*TICKET sale ... 2/11〜LAWSON TICKET,e+,ShowBoat
■問合せ:ShowBoat
03-3337-5745/info@showboat.co.jp
http://showboat1993.wix.com/showboat1993