第255回
ピーカン・ファッジ” の巻


あーーあっ。
店舗を構えるビルの老朽化による解体に伴い、2019年5月6日で ”ピーカン・ファッジ” が廃業してしまう。

ピーカン・ファッジって言っても、名古屋圏に住んでいない人にとってはピンと来ないかもしれない。
名古屋の中古盤店のはしりの店だ。

現在は、中古盤の店になってしまったが、1977年12月の開店当初は輸入盤も扱う店だった。

今池店開店の時(12月3日)に購入したのは、新譜の「This Is The Modern World / The Jam」に「Young Loud Snotty / Dead Boys」。

名古屋の輸入盤店で未だ見た事のないアルバムを手に入れることができたから、興奮したものだ。

他は、イギリスのブルースロックバンド Killing Floor の「Original Killing Floor」を現金の持ち合わせがなくて取り置きしてもらった。
何しろ、その日は、ものすごい人ごみで、並んだことも覚えている。


当時は、現在店舗を構えるビルではなく、もう少しだけ北のビルの地下にあった ”タウン758” という、これからお店を始める人たちへ向けたスペースの一角にあった。

ロックのレコードを見ることができるので、毎日のように通った。

何しろ知らないようなレコードを、高井くんと吉川さんからいろいろ教えてもらった。

特に高井くんからは、パンク以前のブリティッシュロックの格好いいバンドを次々に教えてもらった。
まだ、名前だけしか知らなかった、Pink Fairies や Groundhogs、Jet といった、当時流行っていたハードロックとは違う、パンク世代に繋がる音を出すバンドの存在を ”耳で” 教えてもらった。

また、吉川さんからもレコードを聴くときの楽しみ方を、次々と教えてもらった。

もちろん、店主のハセさんがニコニコしながら相槌を入れてくれるので、ピーカン・ファッジは、10代の私には楽しくてしょうがない場所になってしまった。

店に行くと、みんなでレコード袋のノリ付けをしているから手伝いをしたこともある。

”パンクのレコードのコメントを書いて”と高井くんに言われて、コメントを書いたりもした。


もちろんバンドを始めてからも、チラシを ”店の一番良い場所” に貼ってもらった。

自主で初めてリリースした the原爆オナニーズ の「Just Another the原爆オナニーズ」を置いてもらった。
(この頃、渡辺さんが ”レコードショップ・フジヤマ” を始めて、信じられないような枚数を注文してくれたから、the原爆オナニーズは今も続いているんだ。)

また、芸音劇場で自主企画をする度に、チケットをほぼ手数料なしで扱ってくれた。

おそらく、70年代末から80年代初頭、全国の自主制作をしていた人にとって、”名古屋といえばピーカン”のイメージがあったと思う。


開店当時、いろいろ教えてくれた二人。
高井くんはデザイナーとして独立して、the原爆オナニーズ の 『ONANIES AT LAST :パンクロックの素晴らしき世界』 のジャケットデザインをしてくれた。

吉川さんは、レコード店 ”ヴァレンタイン・レコード・マーケット” を開いた(現在は閉店)。


今でもピーカンに、年に数回は行くのだが、以前に比べるとその頻度は大きく落ちている。
だけど、店に入ると何か欲しいものがある店なんだ。

”あっこれ!やっと見つけた!” 何度経験したことか。

ピーカンありがとう。

2019/3/29

 
the原爆オナニーズ ライブ予定

4月20日(土)名古屋 池下 Club Upset
パンクでぶっ飛ばせ
共:GAUZE、Killerpass
開場 18:00 /開演19:00
前売り 2,500円(別途ドリンク代) 
■問合せ:Club Upset 052-763-5439

----------------------------------------------------

5月3日(金・祝)大阪 ファンダンゴ
GASOLINE ROCK FESTIVAL 2019 IN JUSO FANDANGO
共:GASOLINE、東狂アルゴリズム、THE GUAYS
開場 18:00 /開演18:30
前売り 2,500円 /当日3,000円(別途ドリンク代) 
■問合せ:FANDANGO 06-6308-1621