第260回
”2010年代アメリカのパンクバンド” の巻


昨年は、イギリスのパンクバンドに夢中で、アメリカのバンドを全くと言っていいほど聞いていなかった。
まあ、例外はSleepの「The Sciences」ぐらいかな。


しかし、今頃になって気になるバンドの音源を買ってみたところ、あまりの素晴らしさに驚いているところだ。

しかも2010年以降にデビューした生きの良い連中ばかりなんだ。



まず最初は、TURNSTILE（ターンスタイル）の『Time & Space』。

メリーランド州ボルチモア出身の５人組が、”Roadrunner”と契約して第一弾となるセカンドアルバム。

オープニングの”Real Thing”は、いきなり Ramones の「Do You Remember Rock’n’Roll Radio ?」かと思わせるようなリフで始まるから、心がウキウキしてしまう。

次の瞬間に重いビートになってヴォーカルが強烈に入ってくる。
続く”Big Smile”はStatus Quoかを連想してしまうようなギターリフをぶちかましてくる。

もうここまでで、ノックアウト状態。

次第に大好きなアメリカンハードコア、それも Killing Floor あたりの重心の低いニューヨークの音が次々と襲いかかってくるではないか。
思いのほかメロディアスでポップなところは、Gorilla Biscuitsを彷彿させる。

ある記事では ”ヴィンテージなハードコアとメタルコアの融合” と紹介されていたけど、ヴォーカルが2000年代以降の歌い方になっているので、明らかにアップデイトされたハードコアパンクと言える。



続いて、VEIN（ヴェイン）の『ERRORZONE』。

2013年に結成した、マサチューセッツ州ボストン出身の５人組のファーストアルバム。

アルバム前半は曲間無く激情系な音で畳みかける。
Convergeよりは、ブレイクの入れ方がロックぽいところが特徴かな。

そして、何よりもロックぽく感じさせるのがヴォーカルの入りかた。
Deftonesの影響下にあるような、ぶっちぎれ具合は異質な感触を持ち込んでいる。

ライブの映像を見るとターンテーブル奏者がいる辺りやノイジーで余分なギターソロが無いところも、どことなく Deftones に似ている。
もう少しポップになるとGlassjawのようになるんだろうけど、ギリギリのところでハードコアしているからこそ、痛快そのもの。
海外のコメントで、”Nu-Core”っていうのがあったけど、納得だ。



最後は、JEFF ROSENSTOCK（ジェフ・ローゼンストック）の『POST-』。

1982年生まれで1990年代から活動をしているキャリアの長い人。
バンド活動からソロになったのが、2010年代だから甘めにみてください。

本作は評価の高かった『WORRY』に続く彼の３枚目のソロアルバム。

2018年1月1日にデジタルリリースされ、話題になっていたので知っていたけど、CDを手に入れたのはつい最近のこと。
最初の曲「USA」で、インディーロック好きは、心を鷲掴みにされること間違いなし。

”We’re tired. We’re Bored”の連呼はトランプ政権に対するアンチの表明そのもの。
いかにもアメリカのインディーロックならではの突き抜けた音は、フェイクの飽き飽きしたこの時代に相応しい力強さがある。


今回は、以上３枚です。

DJをやる時に、このようなバンドを混ぜてかけることが出来ると楽しいなあ。
やっぱり、新しい音楽を聴くと気分がリフレッシュされるよね。

2019/10/7