第269回
好きなアルバムを聴く の巻

いろいろ書こうと思っていたのだが、うまくまとまらない。
これで5回目くらいの書き直しだ。
こうなったら、開き直って好きなアルバムのことを書こうっと。


私のレコード棚は、買った順に並べてあるから、”このあたりと一緒に聞いていたから、この辺にあるはず”とすぐに見つけることができる。


ところがCDはレコードと違い、段ボールメーカーに特別に注文した箱にある程度整理して入れている。

アルケミーならば、番号順に入れてある。

海外のバンドは、イギリスものならばハードロック、ブルースロック、フォーク(トラッド)、プログレといった類で分けている。
この辺りも、アルファベット順で整理すれば良いのだが、あくまでも自分の中で連想できるバンドをまとめて入れるという、他人には分かりづらいものになっている。

イギリスの初期のパンクは、バンド名ごとにアルファベット順に整理してある。
ここは、すごく分かりやすい。

Sex PistolsとThe ClashとThe Damnedは、同じ箱に分けている。

同様に、再発が出る都度増えているWIREとMAGAZINEやThe ONLY ONESなんかも別箱だ。


で、問題なのはアメリカのパンクだ。

1970年代から2010年代まで続いているバンドが多いから整理が難しい。

その上、地域によってバンドがやたらと多いのだ。

カルフォルニアのバンドだけで、初期、ハードコア、メロコア、オルタナ、ラウドといった具合で、何箱も入ってしまう。

ニューヨークも同様だ。

グランジ、ジャンク系になると、購入したソフトがレコードからCDに移行した時期になるから、数がハンパじゃない。

最初は、レーベルと地域別に分けていたのだが、探すのが面倒になってしまい、SUB POP、Amphetamine Reptile、Touch And Go、とレーベルごとに組み替えたりしている。

そうすると、Touch And Goで別の問題が出てしまった。

ハードコアの箱に入っていると思っていたバンドが、ジャンク系の箱に入っているのだ。
しかも南部テキサスのバンドが、中西部の箱に入っていたりして、混乱することしきり。

バンドがメジャーに移籍したりするので、聞きたいときに、見つけるのに時間がかかってしまい、諦めることがある。


今回の主役は、そのような”箱問題”もなく比較的うまく整理ができているボストンのバンドだ。

ボストン・ハードコアっていうと、レコードだとXclaimになると思うけど、CDだとTAANG!だ。

初期のTAANGのCDの良いところは、2in Oneが多いところ。

当時、名古屋では入手困難なレコードが、CDで簡単に手に入れることができて、しかも手軽に聞くことができた。

Moving Targetsの「Burning In Water」やBullet Lavoltaの「Bullet Lavolta」は、まさにCDによってやっと聞くことができた。
(今なら、インターネット経由で簡単に聞くことができるけどね。)


ふたつのバンドを一度に書くと、混乱しそうなので、今回はMoving Targetsにしよう。



このバンドの魅力は、メロディックな曲にラウドなギターとタイトなリズムだ。

3人組なので、一番近いのがHusker Duっていうことになる。
Husker Duで例えるならば、『Flip Your Wig』から『Candy Apple Grey』の時期と『Everything Falls Apart』と『Metal Circus』の時期がミックスされている。

これだけ書けば、なんで好きなのかはわかってもらえるんじゃないかな。


手元にあるCDは、セカンドアルバム『Brave Noise』(1988年)とファーストアルバム『Burning In Water』(1986年)が一緒に入っているものだ。

1曲めから13曲までが『Brave Noise』で、14曲めから終わりまでが『Burning In Water』となっている。

必然的に14曲めから聞くことになるんだけど、耳に入ってくる曲は、今聞いても古さを全く感じさせない。

1986年にリリースしているから、同時期に出たアルバムには、Soul Asylumの『Made To Be Broken』やDag Nastyの『Can I Say』がある。

そうだな、Taking Back SundayやLifetimeのファーストなんかは、このあたりのアルバムを聞いて参考にしているんじゃないかと思わずにいられないほど近い。

どういったところがこれらのアルバムに共通するかといえば、ハードコアパンクを基調としながら、ロック的なアプローチをしているところだ。

ロック的と感じるのは、リズムであったり、ギターの音色だったりする。パンク特有のノイジーなギターだけではなく、飛び跳ねるようなノリの良さが加わっている。
とはいうものの、前のめりなハードコア的なリズムは守っているから、特別に好きなアルバムになるわけだ。

東海岸北部(マサチューセッツ州)のバンドならではの特有な湿り気もあり、私を引きつける要素になっている。

Dinosaur Jr.やThe LemonheadsそれにPixiesの感じといえばわかりやすいだろう。

最後の曲を聴き終わったところで、1曲めから聞くと、このバンドの魅力が倍増する。
透き通るようなメロディーは、おそらく他のバンドにはできない独特なものがある。

こうやって聞き直すと、Ken Chambersのギターって素敵だな。

確認のためクレジットを見たら、Lou Giordanoがエンジニアーとプロデュースを担当していた。
納得だね。

やっぱり好きなアルバムを聴くと元気になるな。

2020/10/31


映画 「JUST ANOTHER」 の公開が決まっているところの情報です。



●公式ホームページ https://genbaku-film.com/

10/24(土)〜東京・新宿K’s cinema
10/31(土)〜愛知・名古屋シネマテーク
11/20(金)〜11/26(木)|宮城・チネ・ラヴィータ
11/27(金)〜大阪・シネマート心斎橋
12/1(火)〜12/7(月)広島・横川シネマ
12/4(金)〜長野・アイシティシネマ
12/11(金)〜京都・出町座

上映決定|神奈川・横浜シネマ・ジャック&ベティ
以降全国順次公開