第273回
”レコード店に行きたい” の巻



私は、いろいろな所に出向くと、必ずレコード店を訪れて、棚の上から下まで見る。

日本国内だと、バンドで行った場所で地元の人に訊いたりして、レコード店を探し出して時間を費やしている。

しかし、ここ10年くらいでレコード店がなくなっている。

20世紀なら当たり前のように駅前にレコード店があったのに、今や壊滅状態だ。
中古レコード店に至っては、古本屋を含め見かけなくなった。
世代交代というべきものなのかな。


レコードやCDを蒐集している人のパラダイスは、インターネットの中にあるお店ではなく、
実店舗に出向き、自分の手で、一枚づつ棚の中を聴いてみたいモノを、それこそ目を皿のようにして探すことだ。

そんな楽しみが奪われて、一年近く経つ。


フジヤマのホームページに、このエッセイを書いている。

言うまでもなく、レコード店のホームページだ。

世界中の自主制作を蒐集している人にとって、一度は訪れてみたい憧れのレコード店だ。
とは言うものの、海外のコレクターがフジヤマにたどり着くには、多くの困難がある。


まず、このホームページは、日本語だ。

世界中のレコード店の多くが出品している、Discogsには情報がない。
もちろん、インターネットにあるレコード店のデータベースVinylhubにもない。

多くの海外の人は、ここで諦めちゃうだろうな。
やっぱり”伝説のレコード店”になっちゃう。

でも熱心な人は、こんなことではめげない。

まずフジヤマに行ったことのある人を探し出す(インターネットで)。
これが出来ると、もうフジヤマにたどり着いたようなもんだが、実はここからが大難関。

開店している時間が分からない。

日本語ならば、渡辺さんがツイッターで情報出しをしているから、開いている時間の予想はつく。
この辺りも翻訳機能で、オタクは突破するに違いない。
そして、ついに念願かなってフジヤマにたどり着き、渡辺さんに会える。


私は、”フジヤマホームページ大作戦”が始まった当初の2001年からこのエッセイをずーっと続けている。
その間、渡辺さんは、色々レイアウトを考えてくれている。

何が良いって、”フジヤマらしさ”が最大の魅力。
毎回、渡辺さんが写真を付けてくれる。

情報が瞬時に集められるこの時代に、あくまでも手作りなホームページは、人の温もりを伝える。
ああ、ウズウズしちゃう。


じゃあね。

2021/3/4



●公式ホームページ https://genbaku-film.com/