第278回
”ザ・ケトル”の巻


テレビをつけたままにしておいたら、突然、聞き覚えのあるギターのリフが流れてきた。
コマーシャルに使われているその曲名を思い出すのに、少しだけ時間がかかった。
まあ、10秒くらいだ。
宣伝が終わった後には、レコードを探していた。


飲料水の宣伝は、ディープ・パープルの例もあり、ブリティッシュ・ハードロックの王道が使われるような印象が勝手にあったのだが、今回は完全に意表をつかれた。

そのリフは、コロシアムのセカンドアルバム『ヴァレンタイン組曲』のA面の一曲目「ザ・ケトル」。

この曲名を思い出すのにかかった時間、実に多くのギターの音が頭の中で飛び交った。

”ぶっきらぼうで重たいギターの音色のギタリスト達。”

オールマン・ブラザース・バンドのデュエイン・オールマン
サヴォイ・ブラウンのキム・シモンズ
チッキン・シャックのスタン・ウェッブ
クリームのエリック・クラプトン
テイストのロリー・ギャラガー
ブラック・キャット・ボーンズのロッド・プライス
ブロッドウィン・ピッグのミック・エイブラハムス
ベイカールーのデイヴ・クレム・クレムソン
ここでやっと答えが、
コロシアムのジェームス・リザーランドだ。


コマーシャルで流れている音は、コロシアムのものとは違うけど、冒頭の少しだけ飛び跳ねるギターの音に強力なドラムの音が押し寄せるところはハードロックの醍醐味そのもの。
上手いこと使っている。
商品名が”ザ・ストロング”だなんて、ある意味ピッタリ合致している。
でも、曲名を訳すと”やかん”だけどね。


この曲、2013年にイギリスのライヴでDJがかけていて驚いたことがある。
その時は、ストレイやアトミック・ルースター等の70年代のヘヴィーロックを次から次へと流したので、”このあたりが再発見されたのかな?”と思った。
2016年にチェリーレッド・レーベルが、ブリティッシュ・ヘヴィーサイケとハードロックの3枚組コンピレーションを出し、第3弾が2021年6月に出たところなので、まだ再発見は続いているようだ。

ロックって不思議なもので、細分化が進むと反動的に原始的な”ゴリゴリ”した音が復権してくる。
デジタルで何でもできる時代だからこそ、力技で勝負しているようなハードロックが欲しくなる。

私にとって、ハードロックは、第一に”轟音”であること。
二番目は聴き終わった時に”痛快”であること。
これ以外の要件は、後付けで他人に話すときに格好つけるだけのようなものだ。
ギターやキーボードがハードに鳴り響いて、ドラムとベースがタイトに決める。
ヴォーカルはタイミングよく入ってくれば文句がない。


ここまで書いたところで、レコード・コレクターズ誌の特集が「70年代ハード&ヘヴィ アルバム・ランキング100」と知り購入してきた。
選者アンケートを読んで、小野島さんと全く同じ感覚。

私も、パンク以前と以降は別物なので、76年が分岐点だな。
モーターヘッドは、パンク扱いになるから、70年代のハード&ヘヴィーじゃない。
この辺りは、こだわりがあり気難しいオヤジになっちゃう。

1976年の初夏に聞きまくった、エアロスミスの「ロックス」とレッド・ゼッペリンの「プレゼンス」それにレインボーの「虹を翔ける覇者」が、リアルタイムでハードロックに接していた最後の時期。
ほぼ同時期、1976年の真夏にパンクが線を引き直した。
モダーン・ラヴァーズの「シー・クラックド」とラモーンズの「電撃バップ」が耳に飛び込んできて、秋にセックス・ピストルズとダムドで、すべてが変わった。


毎度のことながら、夏はハードロックの季節なので、私も70年代のハード&ヘヴィのアルバムランキングをやってみよう。
レコード・コレクターズはライブアルバムを除いているけど、ハードロックはライブアルバムに良いものがあるから、別枠で入れちゃう。


まずはライブアルバム。
こちらは決定的なアルバムが多い。
これらを聴かなければ、ライブを観に行くこともなかったかもしれない。
ロックを聴き続ける原動力はライブ!

今でもライブに足を運ぶのは、あえて選ばなかったが、「Irish Tour ’74」の勢いそのままに日本にやってきたRory Gallagherを体験し、ライブの醍醐味を知ったからだ。


1.Free / Live
2.Humble Pie / In Concert (発掘ライブだけど、これ以上はないので)
3 Colosseum / Live
4.Rory Gallagher / Live In Europe
5.Deep Purple / Live In Japan
6.The Who / Live At Leeds
7.Slade / Alive
8.The Allman Brothers Band / Live At Fillmore East
9.Grand Funk / Live Album
10.外道 / 外道
11.Lou Reed / Lou Reed Live
12.J Geils Band / Live Full House
13.KISS / ALIVE
14.Johnny Winter And / Live
15.Bob Segar & The Silver Bullet Band / Live Bullet
16.Foghat / Live
17.Cactus / ‘Ot ’N’ Sweaty
18.James Gang / Live
19.Derringer / Live
20.Argent / Encore


スタジオアルバムは、基本パンク前にいていたもの。
Doorsは無理やりだけど入れちゃう。GFRやCCRと同じように聞いていたから。
ライブアルバムで選んだバンドは入れないようにしたが、GFRは別格ね。
Bob Segar Systemは、ColosseumとTempestみたいに違うバンド扱いです。


1.Iggy And The Stooges / Raw Power
2.Blue Oyster Cult / Blue Oyster Cult
3.Family / Bandstand
4.Tempest / Tempest
5.Montrose / Montrose
6.Alice Cooper / Killer
7.Flower Travelin’ Band / Satori
8.Ted Nugent /Ted Nugent
9.Flamin’ Groovies / Flamingo
10.Uriah Heep / …Very ‘Eavy Very ‘Umble
11.Groundhogs / Hogwash
12.Doors / L.A. Woman
13.Status Quo / Hello
14.Black Sabbath / Vol.4
15.Grand Funk Railroad / Close To Home 
16.ZZ Top / Tres Hombres
17.Creedence Clearwater Revival / Cosmo’s Factory
18.Pink Fairies / Never Never Land
19.Nazareth / Razmanaz
20.Hard Stuff / Bulletproof
21.Queen / QueenU
22.Aerosmith / Rocks
23.Backman-Turner Overdrive /Backman-Turner OverdriveU
24.Lynyrd Skynyrd / Second Helping
25.Bob Segar System / Mongrel
26.Thundermug / Thundermug Strikes
27.Lucifer’s Friend / Lucifer’s Friend
28.November / En Ny Tid Ar Har…
29.Sir Lord Baltimore / Kingdom Come
30.Judas Priest / Sad Wings Of Destiny

Led Zeppelinが無いじゃんと言われそうなので、60年代のものを付け足し。

Led Zeppelin / Led Zeppelin
Led Zeppelin / Led ZeppelinU
Jeff Beck Group / Truth
Spooky Tooth / Spooky Two
MC5 / Kick Out The Jams

うーん、暑い夏はこういった音楽でしのぐのが最近のパターンだ。

じゃあね。

2021/7/29

映画「JUST ANOTHER」
今後の上映スケジュールです。
■8/28(土)〜9/10(金)|沖縄・ミュージックタウン音市場
@MusictownO

●公式ホームページ   https://genbaku-film.com/