第320回
“Drug Church” の巻



10月末に急激に冬がやってきた。

と思ったら秋の陽気になったり、体に悪いことこのうえない。

もう11月の中旬。急激に寒くなってくる。


季節の挨拶はこのぐらいにして、本題だ。


“Drug Church(麻薬教会)”というアメリカのパンクバンドのことを書こう。


SELF DEFENSE FAMILYの Patric Kindlon(Vo) のサイドプロジェクトとして、2011年にニューヨーク州オールバニで結成の5人組。

他のメンバーは、Nick Cogan(G)、Cory Galusha(G)、Chris Villeneuve(Dr)、Patrick Wynne(B) の4名。


アルバムは No Sleep から、2013年に『Paul Walker』、2015年に『Hit Your Head』をリリース。

このバンドを好きになったのは、サードアルバム『Cheer』(2018年) を聴いてから。

それ以前のアルバム『Paul Walker』を聴いた時は、どことなく90年代の Alternative Metal ぽいなあ、という印象だった。

なんとなくだけど、HELMETのフォロワーみたいと、勝手に決め込んでいた。


それまでのNo Sleepレーベルから、Pure Noiseに移籍して作られたサードアルバムはポップさが増している。

ここが、このバンドにとってプラスに作用している。

この時点で、Turnstile『Time & Space』(2018年) と同じく、これからのパンクのある姿を提示しているように感じた。

ちょうど1980年代の終わりにパンクリバイバルが起こった時の、Green Day や Operation Ivy のような感じ。

”なんやかんや言われたって、俺たちはパンク” と開き直っているかのような。

なにしろ、パンクスピリッツが中心にあるのがよくわかるところが、その魅力といっていいだろう。


『Cheer』の魅力は、エモい2本のギターに、噛み付くようなヴォーカルがかぶさり、ひたすらドライブするリズム隊が緩急をつけるところ。

イメージ的に近いのは、TOUCHE AMORE の初期の2枚。

ただし、ギターの音は、よりラウドで躍動感に満ちている。
まるで、グランジのバンドのような凶暴さもある。

そして、一番の魅力は、Patric Kindlon のヴォーカルだ。

噛みついてくる狂犬のような迫力ある声が、全編にわたって繰り広げられる。

こんな声は、Negative Approach の John Brannon か、4 Skins の Gary Hodges を聴いて、奮い立ったとき以来か。

とはいうものの、しっかり歌うことができるので、押しの一手という感じではないから、次第に惹きつけられる。


コロナ禍を経てリリースされた2022年の4枚目のアルバム『Hygiene』 は、日本では ”Ice Grills” から発売されている。

このアルバムで完全にやられた。

ギターが FUGAZI や Pixies を彷彿させるダイナミックかつワイルドな音色でガンガン迫ってくる。

リズム隊はキレキレで、思わず体が動いてしまう。

ヴォーカルは、表現力がよりアップしていて、ヒリヒリするような切迫感がある。

このアルバムのリリースツアーの一環で、私はタイミングが合わず行くことができなかったが、2023年8月に東京で来日公演をしている。


そして最新アルバムが2024年10月に出た5枚目の 『Prude』 だ。

基本的には4枚目と同じ路線。

よりポップになっていて、CIVとかShelterを思い出したりする。

Ice Grills から出ている日本盤は、歌詞の日本語訳がついているから、彼らを理解するうえで役に立つだろう。


Drug Church は、今のパンク最前線を引っ張るバンドの一つだから、一人でも多くの人に聴いてもらいたいな。


やっぱり、パンクはいいよ!

2025/11/21


ライブのお知らせ

来年最初は、ワンマン公演!

2026年
2月08日(日) 名古屋 クラブ・クアトロ

「お年玉GIG 2026」

 ワンマン公演

出演:the原爆オナニーズ

開場 16:00 /開演 17:00

前売り 3,500円、当日4,000円(ドリンク代600円必要) 

お問い合わせ先
◎名古屋クラブクアトロ:052-264-8211



久々に、ワンマン公演やります。

よろしくね。