第329回

“Blank Generation” の巻


アメリカのパンクっていうと、どうしてもニューヨークになってしまう。
だって、パンクを代表するバンド、RAMONES も TELEVISION も BLONDIE も TALKING HEADS も、みんなニューヨークのバンドだから。

1977年当時、SEX PISTOLS や THE CLASH や THE DAMNED といったロンドンパンクに夢中だった時も、その直前はニューヨークのパンクのオムニバスを聴いていた。
1977年の春まではニューヨークパンク、若葉の季節からロンドンパンクに急激に変化していった。
個人的には、IGGY POP の 『IDIOT』 を聴いた頃に、一気に変化していった。

さて、パンクの第一章というべき、アメリカのパンクの初期をまとめた5枚組のCD BOXセットがずいぶん前(2023年11月)にイギリスのチェリーレッドからリリースされている。

タイトルは、『Blank Generation (A Story Of U.S/Canadian Punk & Its Aftershocks 1975-1981)』 だ。

実はリリースされた時にすぐに手に入れたが、なんとなく熱心に聴かなかった。
というのは、その直後(2024年3月)に入手した これまたチェリーレッドの5枚組のCD BOXセット 『Moving Away From The Pulsebeat(Post-Punk Britain 1977-1981)』 ばかりを聴いていたからだ。

久しぶりに、『Blank Generation』 を聴いたら、これがとても面白いから忘れる前というか廃盤になる前に紹介しておこうという気持ちになった。

全部で約6時間半、130曲入りのこのセット権利の関係で多くのバンドが入らなかったと断り書きされている。
そういったものは、自分のミックステープで継ぎ足して貰えば良いと端書きにあるから、深く考えないようにしよう。

さて1枚目。
このボックスのタイトル「Blank Generation / Richard Hell & The Voidoids」 でスタート。
個人的には、Oak のシングル・ヴァージョンのスカスカで、'なんにもないような開き直った音'に衝撃を受けたので、そちらを使って欲しかったのだが、ここは Sire盤のテイク。
77年特有のノリで気持ちよく始まる。

続いて

「Rockaway Beach / The Ramones」から「Friction / Television」
「Someone I Care About / The Modern Lovers」
「Chinese Rocks / The Heartbreakers」

と、1970年代にパンクを聴き始めた頃に自分で作ったカセットテープのようなつながりだ。

7曲目でニューヨークじゃないオハイオのバンドが登場。
「Sonic Reducer / Dead Boys」 だ。
次にデトロイトの 「John Rock / The Dogs」 とロックンロールの復活を示したバンドを選んでいる。
ここから、マニアしか知らないような世界に突入。

The Brats
Poly Styrene Jass Band
Killer Kane Band
Marbles

と次々に魅惑の世界。

そんな中に Pere Ubu、Blondie、Suicide、Patti Smith が違和感なく入っているのが、この一枚目の魅力。
パワーポップの重要バンドである Sneakers や、中西部のハードコアの始祖というべき The Suicide Comands、そして最後に 「Satisfaction / The Residents」 が入っているのも、チャームポイントだ。

この1枚目で、ほぼ満足な内容なのに、まだ4枚も残っている。

ここからが、広大な荒野を行くかのごとく東海岸から西海岸まで南部から北部まで、さまざまな地域のバンドが入り混じる。
正直なところ、半分近くは名前を知っていただけて聴いたことのないバンドが、次から次に出てくる。

どのディスクも冒頭の4〜5曲は、よく知られた曲が並んでいるため、知らぬ間に気持ちよく聴くことができるようになっている。

2枚目のスタートは「Devo / Come Back Jonee」っていうのは気が利いている。

続くバンドが
「Destroy All Monsters / Bored」
「Crime / Hot Wire My Heart」
「The Avengers / We Are The One」
と、まさに王道だ。

それに続くのが、Twinkeyz と知らないバンドなのも嬉しい。
そして、あまりよく知らないバンドに続いて、パンクマニアなら誰でも知っているバンド、The Mumps が出てくるあたりは、さすがとしか言いようがない。

今回、このボックスを聴くことで3枚目で Really Red や Swimming Pool Q's の魅力を思い出したり、4枚目の後半で、The Feelies、The Bongos、Martin Revに続いて、大好きな 「The Embarrasment / Sex Drive」 が入っていたりするあたりは、このようなボックスセットを買い求める理由の一つになっていると思わざるを得ない。

インターネットのサービスで、”この曲好きでしょ”って勧められる曲の繋がりでは、決して出来ないような”マニア心” をくすぐる ” なにか特別な力” が入っている。
おそらく、この時代にしか無い不思議な繋がりをしっかり理解しているからこそ出来上がるボックスセットだ。

5枚目で、ペイズリー・アンダーグラウンドとハードコアが何の違和感もなく混ざっているあたりは、その証だろう。
そのうえ130曲の締めっくくりは「Minor Threat / Minor Threat」っていうのも ”わかっている!”って、気持ちよく叫びを上げたくなる。

このボックスセットに入っていない
Talking Heads
The Contortions
DNA
Black Flag
The MAD
Misfits
等々、自分で追加するバンドを考えながら、アメリカのパンクの第一章を楽しむとしよう。

The B-52's や メジャーな The Knack も忘れないようにしないとね。
うーん、次から次へと追加バンドが出てくるなあ。

じゃあね。

2026/9/27


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