vol.6 

............肌寒い朝に「WAY TO BLUE」...........

飲まずにはいられない、朝のCOFFEE。

この頃はもう味わう事すら忘れちゃってる。欠かす事無く愛してきた行為を、どこかでうとましいと、感じていたなんて......。

とりとめもなく繰り返される、あなたの朝に、音楽は流れ続けていますか?

耳を澄ますよりも、体が生活が求めている”音”がある。
包まれたくて、時には脱がすように、今朝もまたNICK DRAKEの「way to blue. an introdaction to 〜」に手が伸びる。そして、冷めた炎のような「cell song」のイントロが揺らぐように走り始める.......。

おぼろげな朝の酔いが、何度このCDによってもたらされた事でしょう。

「hazey jane I」は、朝の光をいつも気付かせてくれる。
「way to blue」の、胸に流れ込むような、悲しげなストリングスがスナフキンのような「river man」を連れてくる。彼が眺めていた朝と夕暮れのスローダンスは、まるで「逆光の中の出来事(things behind the sun)」のよう......。

今日という日を乗り切る為に、パスタをゆでる。

にんにくとオリーヴオイルの香りの湯気の向こうから「poor boy」が語りかけてくる。何を射止めるの?昨日の夜、抱きしめた感触を覚えてる?踊り出す湯気の模様のように、こめかみに込める意味は何 ??? あやふやな想いを、ひるがえすかのように朝のクライマックス......

「time of no reply」は部屋中を揺らし始める。今、この瞬間を彼方へと奏で続ける、「time of no reply」。この曲が流れる事そのものが生きる事に対する、あるがままの答え。

宇宙との約束を僕は果たせているのだろうか?

自分で決めたつまらない期限に怯えているのは、そう、自分だけ。

COFFEEとCOOKIEに甘えながら「frome the morning」に寄り添いながら、この朝、このひとときに微笑んでいたい。
「one of these things first」が終わってしまう前に、今日はいさぎよく出かけよう。

そして、ゆったりと自転車をこいでゆこう.......。

★★

ニック・ドレイクの4枚の作品の中から、漂うように並べられた曲の数々は詩に綴られる運命にある、紙の切れ端のように僕の目覚めきらない体の中を、流れ続けています。

僕の体の中には「way to blue」が流れる為の水路のようなものが、息づいているのです。

2002/11/1


コラムindex#5を見る