渡辺正連載コラム #53

フジヤマで売ってないレコードたち。


the plasmatics/new hope for the wretched ( stiff/LP )

日本では80年代はパンクでした。

フジヤマもその只中にあって開店しました。音楽の為の音楽ではない、その思想闘争の年代。

表現を技術から基本にリセットする大切な時期だったように思います。

端正なパンク・レーベルであるスティッフ・レーベルの中にあって、プラズマティックスは明らかに「へん」だった。
ウエンディ姐さんのパートがいい事この上ない。ヴォーカル、チェーンソウ、マシンガン&サックスだもん。ヴォーカルとサックスは分かるが、なんだチェーンソウって。なんだマシンガンって。私は多分チェーンソウのようなヴォーカルで、マシンガンな感じのサックスをやってるのかと思い「カッコつけてんじゃねーよ!」と、内心鼻で笑ったが、姐さんのオッパイにいかれて買ったんだ、これ。

とはいうものの、実はスティッフのレコードは出れば殆ど無条件で買ってたんです、当時。

ライブヴィデオも一緒に買ってみたんですが、笑った笑った。乳首に黒いビニールテープちょこんと張貼ってチェーンソウ振り回してる馬鹿丸出しのウエンディ姐さん!挙句にステージにおいた車が炎上。やけのやんぱちバンドです。

そんな素敵なバンドをコピーしたバンドが、日本にもいた。

VID-SEX。

ロックのカバー大会をやろうという私の企画で、ストラマーズはクラッシュやデヴィッド・ボウイを選んでいたのに対して、彼らはなんとプラズマティックスを選んだ。彼ららしい、良い選択、いいセンス!

ヴォーカルの大岩君は勿論むくつけき容姿(愛情ですよ)の男だから、どうするのかと思ったがオカマ言葉でウエンディ姐さんしてて、笑わせてもらった。

疾風のように終わった「プラズマティックス」だったが、その華やかなステージを忘れない。

今、プラズマティックスもVID-SEXもいない。どちらも一時の雷のように美しいバンドでした。

2002/12/26