渡辺正 連載コラム #65

フジヤマで売ってないレコードたち。


teddy wilson/Mr.wilson and Mr.gershwin ( CBS/LP)

軽快な音楽で、ダラダラしないピアノが聴きたい。

今日はそんな事をずーっと、思ってた。

突然段ボールという恐ろしくもキュートなバンドをやってた蔦木のお兄ちゃんの葬儀帰りの高崎線車中。先月25日に林君(アウシュヴィッツ)が、今月25日は蔦木のお兄ちゃん。来月25日は誰が死んじゃうのかな。参ったな、どうも頭が痛い。

供養だからといって、私の敬愛する故人の音楽をターンテーブルに乗せるほど、今は落ち着いてもいない。

すっとぼけた遺影写真を前に、「やるなあ蔦木さん、いいポートレートだ、はぎれがいいぞ!」と少し笑った。

笑ってはみたものの、なんだかなあ。

音楽や生きる事に軽妙なスタンスを、見習おう。だから、最後にあの遺影で少し笑わせてくれたのかい?

ずーっと、高崎線車中でそんな事考えてたら、居眠りしてた。そんな、間抜けな僕だが少し軽快に笑えるようにならんとな。

滅多に聴かないテデイ・ウイルソンをかけたよ、「summer time」だの「embraceable You」とかのバラードなんかは飛ばして、見事に軽快爽快どうですかい、な「nice work if you can get it」を一発聴いて、速攻でふとんに入って居眠りしたさ。

2003/8/29 


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