川喜田美子 (D-DAY)連載コラム
こう見えて獅子座の女

 
vol.11 

今日はちょっと嬉しいことがあってエッセイ更新しちゃいます。



2006年の復刻盤リリース以降、思いがけない再会がいくつもありました。

昔、スタッフをやってくださっていた方や毎回ライブに足を運んでくださった方々…

当時中学生でした、高校生でした、大学生でした−
と沢山の方々から思い出とともにメールを頂きました。

そして、インターネット社会で偶然つながった30年以上前の友人・知人。


今回、フジヤマにて「Seed Cakes」シリーズを購入くださった新潟の
はっとりさんはホントに30年ぶりくらいに連絡が取れた方なのです。

はっとりさんはいわば私にとって、バンドの先輩。

10代の頃の2つ年上はそれはもうすごい先輩な気がして、大人にみえましたね(笑)

それにウィリアム・バロウズの「ジャンキー」(鮎川信夫訳ですよ!)なんて本を
プレゼントしてくれたり、なんか「大人びたお兄様」な存在でした。


でも、新潟に帰られてからは全くの音信不通で、ハガキ一枚やり取りしたこともなくて…


ほぼ30年ぶりくらいに連絡が取れて、いただいたメールを通してお兄様がワケあって昨年よりバンドを再開されたことを知りました。
地元でのライブ音源をCD化したものも送ってくださいました…

歌声や演奏を聴いていたらなんだか、ほんのわずかの間に30年の年月が一気に埋まっていって、新潟までお兄様のライブを見に行ったことなどが鮮明に蘇ってきて不思議でした。


「フジヤマ」を介して、はっとりさんに届いた「Seed Cakes」Petals,Angel」
そして、はっとりさんから私に届いたメッセージ。



・・・・・・・先輩、ほめ過ぎですよ!

でもでもとっても嬉しかったので、この場を借りて紹介させていただきます。



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> Subject:CD聴きました


とにかくサウンドプロダクションの完成度の高さにビックリです。
そして独自の世界観に昔とおんなじ変わらないVOICEがなんとも
不思議空間をかもしだしていますね。

ホント絵本を音にしたような、たとえば、マザーグース、アラビアンナイト、
ティム・バートンの映画化で最近また話題のアリス−そして昔観た
古いフランスのアニメーション「ペンネの世界旅行」なんかに例えられる、
ちょっと奇妙なお伽話。

Seed Cakes Petals−
曲で好きなのは「シトロン」。ガキの頃あったんだよね
「キクエシトロン」とか「ミナトシトロン」この響きがいいよね(笑)。

エレベーターみたいなちょっと浮遊感のある奇妙なAメロがいいです。
続く「ドリーマー」も途中の電気バイオリンみたいな音がすごく効果的。

そしてシークレットトラックは懐かしい。感激です。

Seed Cakes Angel
ジャケが昔画集を持ってた「ユージンカーリン」を思わせる。
さらにグレードアップした印象。

「天使に似た君」の中のワンフレーズ−ポスターから抜け出す君−
なんて、とってもファンタジックなアイデアだよね。

「ミルキーウエイ」も半ばでガラリと変わる曲調が印象的です。

そして「ピーチェス」
これはね、初めて聴いた日1日中頭ん中で鳴り続けていました。
♪ピーチェス、ピーチェス、 ピーチェス・・・♪ 
ひとりパフュームって感じかな(笑)

そして、やってくれたね。ジムとルー。
アメリカの東と西、まるで対局的な2人 のカバー。

片や、自分自身を炎と化し、熱狂の果てに燃え尽きた男。
片や、どこまでも醒め続けたクールなNYCマン。

「クリスタル〜」の出だし♪ビーフォー ユー・・・の”間”がいいです。

う〜ん、正直初めは「ええっ!」と思ったんだけど、聴いてるうちにクセになるっつうか、
心地イイです。愛聴してます。

サウンドの奥に見え隠れする、クリムゾン、フロイド、ピーガブってのは俺の
思 い過ごしでしょうか?

またメールします。はっとり。



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こんなふうに人と再び巡り会えるのは素敵です。
本当に嬉しかったな。


さらに嬉しかったのは、はっとりさんから送られてきたCDに同封されていたお手紙。

最後に写真が添付されてて
キレイな奥様とキュートなお嬢さん、愛くるしいトイプードル、
そして優しそうな笑顔のはっとりさん。
(着ていたトレーナーはRAMONESだったけど!)

シアワセのおすそわけを頂いたみたいで、心が温かくなりました。
ありがとう。



*三軒茶屋の片隅の一軒のレコードショップ「フジヤマ」には今でも看板にJAGATARAのアケミさんの名言(遺言か)が掲げてあって、一体いつやってるのか、やってないのか誰も知らないんだけど「フジヤマ」はたしかに25年前くらいからそこにあって、店内に入るとそこはもう真空パックされた80年代そのもの。

ドアを開けてふらっとチャーミーが入ってきても全然違和感ない空間。


時代はどんどん急いで、私たちは毎日先へ先へとせかされていくけど、「フジヤマ」はずっとアナログのままでいるんだろうな。

渡辺さん、
−音楽と人との橋渡し−をこれからもよろしくお願いしますね。

2010/5


sala-006

SEED CAKES Angel

yoshiko kawakita

1.天使に似た君
2.Milky Way
3.Peaches

Bonus track:

水晶の舟
日曜日の朝


all back tracks performed by Shinobu Narita

all lyrics & music by yoshiko kawakita(1.〜3.)

http://plaza.rakuten.co.jp/yoshikokawakita/

mail to: salad_days_yoshiko@yahoo.co.jp


Cover illustration by Kazuko Tsuji  

辻和子 :イラストレーター。広告・出版物を中心に活動。
歌舞伎のイラストエッセイやキッチン用品などのデザインも手がけている。
http://web.me.com/ktsuji/