第7回 |
音楽ってなんだろう、バンドってなんだろう、と真面目に考えた事がある。今もそうだけど。
1992年前後には、ロックイヴェントを企画しても知り尽くしたバンドがただ演奏して終わる、というのがどうも馴れ合いを感じて新鮮度が異常に低下していた。 ロックがロックらしく響かないバンドばかりで、私がわざわざ企画するのも遠慮していた。 違った切り口で「ロックイヴェント」をやろうと決意。通常のバンドの演奏の間に出演バンドのメンバーがコントをしたらどうなるか....。ちゃんと台本も書いて...。 吉本新喜劇をもじって「フジヤマ新奇劇」と銘打って東京渋谷ラ・ママで行う事にするが、もの凄く怖かったのを覚えている。お客はどう反応するか、出演者はおもしろがってくれるか、すべてにおいて新鮮で、怖かった。 出演バンドは、サーファーズオブロマンチカと猛毒だけで、他はミック宮川、アリスセイラー(アマリリス)、保山宗明王、ヌルピョン、フィリップくん、内門君と吉村智樹君の「それはヒミッツ」などの関西パフォーマンス軍団をよんでの大アホ企画敢行。なにせハードな企画ばかりやっていたものだから、この変化球企画は度胸がいった。でも、ある意味とてもハードじゃないかとも自分では考えていた。膠着したロックバンドイヴェントに一矢報いたかったのかも知れない。 この企画後、保山君、ヌルピョン、フィリップくんはモダン・チョキチョキズに加入して、なんとメジャー・デビューを果たすことになる。 この企画ではなんでもいい、やりたい事をやる、いつもと違った切り口を考えてみる。演奏に留まらず、お話だけで終わってもいい、手品でもいい。でもやる人達はバリバリに「ロックな人」と確信して出てもらったから、ある程度はワクワクしていた。 さてさて、アリスセイラーを座長にした新奇劇の方は、客の混乱と新鮮さにおいて大成功で、シリーズ化に突き進むのであった。 「お笑い」を画策したものではなく、「ロック」を目指した大胆企画だった訳である。 2001/12/15
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