c o l u m n h i d e m u s h i o n o d e r a r a k u g a k i n o g a # 7 ( C ) F U J I Y A M A
i l l u s t
r a t i o n & t e x
t b y H I D E M U S H I O
N O D E R A |
「泥の河」という映画で「きっちゃん」」とかいう子供が、(違ってたらゴメンなさい。)生きている蟹に火をつけて、友達になった子に「面白いだろう!?」というシーンがる。
最初はゾッとしたが「燃えている蟹」がゆらゆら横歩きしている姿は何とも幻想的で美しかった。
にら子供が昔リリースしていたカセットにブックレットが付いていて、そこに「子供は残酷だ」と記されていたと記憶しているが、それを見た時「そ〜だよね〜。」と思った。(残酷=悪ということではまったく無く)子供は「無邪気」とよくいうが「無邪気」では無く「無邪鬼」で、「邪気が無い」ではなく「邪が無い鬼」。そんな感じ。どんな感じ。
「泥の河」や「にら子供」ほど美しくも深くも全然無いが、私の子供の頃の阿呆な無邪鬼話を。
子供の頃、家の近くの神社裏の林でよく蜘蛛を捕まえて遊んだ。
そこには腹の色が黒地に綺麗なレモンイエローのラインが入ってる通称「電気蜘蛛」と呼んでいた蜘蛛が、あっちゃこっちゃに巣を作っていた。
遊び方としては、まず1匹蜘蛛を捕まえて、拾った小枝にのせ、尻から糸を出して下りていく蜘蛛を「ちょうちん!ちょうちん!」などと言いながら地面に着かないように持って歩く、という至ってシンプルなものだったが、けっこう楽しかった。走ってみたりもした。
が、飽きる。
次に思い付いた遊びは「蜘蛛は蜘蛛の巣に引っ掛かるのか?」
蜘蛛が蜘蛛に食べられるという何とも恐ろしい場面を想像し、ハラハラドキドキ捕まえた蜘蛛を違う蜘蛛の巣にくっつけてみる。
答えは引っ掛からなかった。
違う蜘蛛の巣でもスルスル歩いていた。
が、巣主の蜘蛛がスルスルと近付いてきて喧嘩を始めた。
お互い長い足で相手を覆おうとしてガップリ四つならぬ、ガップリ十六になり、もみ合い2匹が1つの団子状になり、いなかっペ大将の涙のように巣からス〜っと糸を出して落ちそうになりながら、また上ってきて戦う姿は正に必死で素晴らしかった。
結局どちらかを殺すことはなく、負けを認めた蜘蛛が尻からス〜と糸を出して地面に下りていって戦いは終る。
そのス〜と下りていく姿は、なんとも
好悪かったが、その蜘蛛がまた別の木に上っていく姿はグッとくるまではいかないが、子供ながらにホッとした。
戦いに勝った蜘蛛は壊れた巣を修していた。
これは可成り子供心、男心を刺激したようで勝利した蜘蛛を捕まえては、あっちゃの巣、こっちゃの巣とくっつけてまわった。
が、やはり飽きる。
次に観たいと思ったのが蜘蛛たちの大乱闘。
直ぐ家に帰って、ゴーフルかなんかのお菓子の空き缶を持ってきて、20匹位詰めて家に持って帰った。
サランラップを持ってきて、逃げないように蓋を取り、サランラップで中が見えるように蓋をして(セロテープで缶に留めて)観察した。
20匹の大乱闘!20匹が団子状になり、揉み合い絡まり合い糸を巻き付け合う!
そんな姿を想像しワクワクドキドキしていたが、実際はそんな事は起らず、缶の中をウロウロするばかりで、たまに四隅の場所を確保したい蜘蛛どうしがちょっとした小競り合いをする程度。
しばらく観ていたが、だいたいの蜘蛛はその空き缶の中に自分の場所を見付けては、あまり動かなくなった。が、何匹かは、ラップと缶の間に手足を突っ込んで脱出しようとしていた。
大体解ったので(何が?)缶を庭に持っていきサランラップを外すと、ウジャウジャ〜と缶から這い出てくる蜘蛛の姿に感動した。
「蜘蛛の子を散らす」という言葉があるが、蜘蛛の大人、しかもレモンイエローのラインの入った電気蜘蛛が一ケ所から、てんでバラバラに緑の中を動き出す姿は綺麗だった。
他にも無邪鬼話としては「蟻地獄が蟻地獄に落ちたら?」や「蜻蛉の羽はどこまで短くなっても飛べるのか?」や「大量の団子虫を坂から転がせ!」などなどありますが、それはまたの機会に。
絶対、戦争は反対。
ではでは。
2003/2/12