第147回
”We're an American Band”の巻

NHKハイビジョンで、ジョン・フォガティーの２００５年ライブを観てしまいました。
いろいろ感慨深いです。

1. アメリカの「白人」をターゲットとした、カントリー＆ウエスターン音楽の臭いがプンプンします。
2. 彼の音楽からは、ベトナム戦争の後遺症を未だに持っている音楽を聴くことになります。
3. クリーデンス・クリアーウォーター・リバイバルの曲をやっていく。

これだけで、どのような年齢、どのようなリスナーを対象としているのか分かるでしょう。
映像から見取れるものは、『白人』の『５０代以上』が非常に多かったです。
思ったより女性も多く、夫婦で来ている人も映っていました。
で、どう思ったのか？

『ロックっていいですねえ』 と素直に思いました。

アラン・フリードの時代から、ロックは 『白人』 のものなんです。
高校生の頃読んだ 『ロックの歴史』 にも、確か書いてありました。
黒人のレイス・ミュージックの名前を変えて出したものが、ロック・ン・ロールだ。
当時は、理解の出来ない子供でした。（いまでもあんまり変わらないけど）
大体、その当時は ”グラム・ロック” と ”ハード・ロック” に夢中で、そのうえ ”プログレ” も。
忙しくて、昔のロックはラジオで聞けばいいぐらいの感じでした。

高校生の頃は面白いことに、映画 ”アメリカン・グラフィティ” の影響か、ロックンロール・リバイバルで、真面目に構成したラジオ番組があり、聞いていれば勉強になりました。
だから、知らないうちにロックンロールの魅力をからだにしみ込ませていたのでした。
カントリー＆ウエスターン、ヒルビリー、リズム＆ブルーズ、スウィング・ジャズ（ブギウギ）を時系列で聞いていたことになります。
（関係ないけど、いまのラジオ番組で時系列的に音楽の情報を得ることは出来るんだろうか？
あの頃の音楽番組は構成がしっかりしていて、いま思うと勉強になった。 
なにしろ、知らないあいだにすり込まれるんだから）

ブリティシュ・ロック以前のはなしばかりだったので、個人的な興味はほとんどなかったのですが、聞いている分には面白かったので、よく聞いていた。
ラモーズの曲ではないけど「Do You Remember Rock'n'Roll Radio?」だった。

ジョン・フォガティーに、はなしを戻しましょう。
彼のイメージはもちろんクリーデンス・クリアーウォーター・リバイバル(CCR)にダイレクトに繋がるだろう。
一般的には、「雨を見たかい」 がいまでも時々ラジオでかかるぐらいかな？
ヒット曲でいくと、ハノイ・ロックスのカバーで８０年代以降のロックファンには 「アップ・アラウンド・ザ・ベンド」 か。
ハードコア・パンク世代だと、サークル・ジャークスがカバーした 「フォーチュネイト・サン」 もあるな。
アメリカンロックに詳しい人じゃなくても、結構知っている曲が多い。
「プラウド・メアリー」「グリーン・リバー」「バッド・ムーンライジング」 うーん、いっぱいあるなあ。
90分弱の間に、こういった曲を次から次へと演奏していったのが この番組だった。

番組を観るまでは、懐メロ番組なので録画をして何回も観ようかな？ 
が、正直なところです。
しかし、驚いたことに、いまのロックを聴いている人にも十分対応出来る音だった。
バックのミュージシャンが良かったために、このように聞くことが出来たんでしょう。
だまされたんだろう。

そこがロックのいいところだ。

ワクワクするような感覚がそこにあった。
メロコアの胸キュン感。ハードコアの怒り。プログレのスリル感。
頭を振って、腰を振って、楽しんでしまう感覚。
素直に、ロックの楽しさを感じ取る。

理由は、後付けで問題ないと思う。
観たことが事実なんだ。

2008/10/15