第166回
”大きな疑問”の巻
とってもイカしたバンドがいても、日本は音楽評論家が好きじゃないと、誌面に載る事もなければ、放送媒体でかかる事もない。
これが、現在の日本の音楽業界のおかれた状況だと思う。
宣伝費用をかけて、一発当てて2年後には忘れられる。
こんな事が、ここ何年も続いている。
だけど、バンドは続いていて状況の変化を理解して活動している。
今日の主役は、アメリカじゃあ超ビッグバンドなのに、日本のロックガイド本では完全に無視されているバンド
”J.GEILS BAND" だ。
なにしろ、日本のロックオヤジ達が ”ロックは70年代までだね”
という、その時代にアメリカで圧倒的な人気のあったバンドなのに、そのオヤジ達でさえ無視なのである。
理由はわからない。
何しろ、Boston Rock の代名詞となるバンドなんだから。
Aerosmithと同じような音楽スタイルだけど、J.GEILS BANDの方が、もっとBlues Rockだ。
それなのに、Blues Rockのガイドブックには、特集記事も無い。
それでは、アメリカンハードロックにあるかと思いきや、そこにも特集は無い。
不可解なのである。ただ単純に、みんな知らないだけなのかもしれない。
知らなければ、話題にもならないからね。
いまでは、みんな知っているアメリカン・ハードコアだって、1980年代は完全無視されていて、”変なものを聴いている”
としか言われなかったから。
誰でも知っているであろう音楽評論家は、BLACK FLAG と BIG BLACK
は同じバンドと思っていたぐらいだ。
情報が少ないと本当に起こっていることは、当事者とその事に興味がある人にしか伝わらない。
"J.GEILS BAND" は、1970年代を代表する格好いいバンドのひとつなんだ。
なんたって、ヴォーカルのピーター・ウルフ
のかみさんは、アカデミー女優のフェイ・ダナゥエイだったんだ。
まあ、インターネットで映像検索すると、J.GEILS BAND の70年代の格好いい姿を見る事が出来るので、みんな納得だと思う。
エンターテイメント性というよりは、真摯な姿に圧倒されるはずだ。
その姿は、イギリスでも評価が高く、パブロック系のバンドのお手本になっている。
DR. FEELGOOD、EDDIE & THE HOTRODS あたりがフォロワーっていうところかな。
70年代のインタビューで、DR. FEELGOODのメンバーが、自分たちの音楽に一番近いバンドとして、J.GEILS BAND
をあげていた。
もっとも、その頃の私は、J.GEILS BAND の格好良さを理解していなかったので、”???”
という感じだった。
35年近くたって、やっと理解できるようになった訳だ。
どこか格好いいのかといえば、ストレートな感覚になる。
Blues Rockなのに、やたらと長いギターソロは無い。
コンパクトにカチッと曲を決めていく。
ここが最大のポイントかな。
現在の耳で聴いていても、時代を感じる事無く聴けてしまう。
大げさな仕掛けは無い。
だから、日本の評論家に人気がないんだろう。
LED ZEPPELIN や DEEP PURPLE がいまだに巨頭になっているこの国では、幅広いロックの楽しみ方をするよりは、狭く深く突き詰めた聞き方をする人が多いと思う。
とくに、個人の演奏能力というようなところを注目しているきらいがある。
THE KINKS がビッグネームじゃないのと同じかな。
格好いいバンド=評価が高いという事はほとんどないと思う。
宣伝費用をかけて、音楽評論家の身入りを良くするバンド=話題のバンドになる事が多い。
もっと、単純に格好いいロックを聴いて、腰振って、あたま振って、ノリノリのロックを楽しんでもいいんじゃないのかなあ。
それにしても、”J.GEILS BAND"の格好良さは、半端じゃないよ。
2010/5/24
|
the原爆オナニーズのライブ予定
7月10日(土)名古屋 UPSET
今のところ、発表できるのはこのライブだけなんです!
|
|
|