第196回
打っ魂消るぜ!の巻



更新が遅れてしまいました。
8月は、あまりにも暑すぎて、完全にダウンだね。
なんたって、38度を超えちゃうと、思考能力無くなっちゃうよ。


9月に入って、ちょっと涼しくなったところで、復活。


最近のハードロックは、ギターソロが延々と続くものばかりじゃないので、聴けるバンドがあります。
今回は、打っ魂消る(ぶったまげる)ような、いきの良いバンドを。


HOT LUNCH
今大好きなのは、ハードロックでスケボーな連中、Hot Lunch。
アメリカはサンフランシスコ出身の4人組のファースト・アルバム『Hot Lunch(Tee Pee)』。

ただただ粗暴なハードロック。

GFRとBlue Cheerをミックスして、そこに初期Black Flagを掛け合わせ、BudgieやGunの様なイケイケなイギリスのブルースロックで割ったような感じ。
前につんのめる様なビートやギターの音の割れ方が半端じゃない。
UFOの「Prince Kajuku」のリフで腕をぐるぐると回し、Blue Oyster Cultの「7 Screaming Diz-Busters」のフレーズで頭を振り乱す。そんなミックス感覚。

あっ、Uriah Heepを忘れていた。

情緒も風情も無く中央突破を仕掛けるデモ隊の様な攻撃性が魅力だ。
1960年代終わりにイギリスのバーミンガム周辺から登場した、Jethro TullやBlack Sabbathみたいな少し湿った重い音づくりは、どことなく”霧のサンフランシスコ”って言う雰囲気だ。
夏のサンフランシスコの天候の特徴である、昼間は快晴、夜は霧になりちょっとだけ肌寒いところが、音に上手く反映されている。
EL&Pの「Knife Edge」のカバーは、ゴーゴー喫茶で長い髪を振り乱すのが最高に似合いそうな音になっている。
ジャケットのスケートボードも最高なので見てね。


●Hot Lunch アルバムジャケット

機会があれば、Hot Lunchの音でスケボーに興ずる映像もあるので、見て下さい。
それにしても、ハードロックとスケボーの組み合わせが、こんなにマッチするとは、驚きました。



UNCLE ACID AND THE DEADBEATS
続いて、イギリスはケンブリッジ出身のUncle Acid And The Deadbeats。
バンド名が、Acid Mother Templeみたいなので、ウルトラサイケかと思いきや、こいつら、ハードロック。
Rise Aboveから2枚アルバムを出ているから、Doom好きな人はチェックしていると思う。
ヘヴィーロックという言葉を思い出さずにはいられないくらいだ。

一瞬、いつのロックを聴いているんだ?という錯覚に陥るほど、1970年代している。

但し、非常に近いと思っていた、GroundhogsやSpooky Toothあたりと聴き比べると、もっとモダーンでKyuss以降の音をしている。
8月にイギリスでライブを見て来たのだが、本当に古くっさい音色の上にモダーンなロックの展開をしていた。
風体はChurch Of MiseryやEternal Elysiumみたい。
もっとも、Churchのような派手なアクションは無くて、眈眈としているところはEternalに近いかな。
ハードロック特有の決めが、心地よく、思った通りに入ってくる。
全く外さないところに、ロックに対するアプローチの確信を受け取ることが出来る。
感覚的には、Church Of MiseryやEternal Elysiumはもちろん、BorisやGreen machine、Barebonesのような日本のバンドが近い。

違いはどこかといえば、”湿りっ気”になる。

音のあまり出ないアンプを歪ませて使うことで出てくる独特の湿りっ気。
今の日本ではあまり流行らないやり方だけど、メタル化する前のイギリスのロックバンドの常套手段だ。

この手法を現在も使っているところに伝統を受け継いでいるなあと感じてしまった。

小さいアンプを歪ませたハードロック特有の音に、1974年にRory Gallagherを初めて見た時の驚きを思い出さずにいられなかった。
1970年代の重くて息苦しいブリティシュ・ハードロックが好きな人は、きっと気に入ると思う。
特に、Rise Aboveからのファーストアルバム『Blood Lust』は、ブリティッシュ・ロックならではの重さと絶妙な曲が多いのでお勧め。

とは言っても次の『Mind Control』の2曲目から3曲目の流れも捨てがたい。
結局現在出ているアルバムは手に入れるべきと言うことか。


●Uncle Acid And The Deadbeats / Blood Lust



THE SHRINE
次は、ロスアンジェルスの3人組、The Shrine。

Hot Lunch と同じ Tee Pee からファーストアルバム『Primitive Blast』を出している。
音は、徹底的にBlack Flagです。
それも『Damaged』まで。

ハードロックをベースに速いパンクロックを展開している。
ギンギンなパンクロックなので、小難しいことは抜きにして、なんにも考えずに聴いて欲しいな。

何しろ痛快です。

ひたすら、パワーで押しまくるリズムに、パンチドランカーの気分を味わえます。
パンクロックは斯く有るべきと謂わんがような、押しの一手。
メロディーがどうのこうのといったところは、全く無し。
この一途さは、パワーメタルに対抗してパワーパンクと言いたくなってしまう程。

ライブで、この音を浴びていたら、気持ちいいだろうな。
こいつらも、Hot Lunch同様、スケボー野郎なので、映像を見てもらえると雰囲気が掴めると思う。


●The Shrine / Primitive Blast



LECHEROUS GAZE
Hot Lunch、The Shrine と来たら、Lecherous Gaze は外せません。

4人組のこのバンドも、サンフランシスコから登場しています。
”好色な眼差し(エロい目つき)”って言うバンド名だけあって、極めてストレートなハードロックをやっています。

ここまで徹底してアメリカン・ハードロックをやられると爽快です。

Molly Hatchet、Blackfoot はもちろん、Lynyrd Skynyrd から連想する、Cream や Savoy Brown や Ten Years After 等のブリティシュ・ブルースロックをベースにしたハードロックです。
そのテイストに、Jimi Hendrix Experience と James Gang と Blue Oyster Cult を混ぜ合わせたような音です。

本当にハードロックの美味しいところを全部かき集めて、混ぜ合わせたら出来上がりみたいなところが有ります。
では、個性を感じないかといえば、まあ、そこそこ個性を感じる訳で、不思議なバンドです。

アルバムを手に入れていないのですが、4曲入りの『Lecherous Gaze』というタイトル作品は、腰を振って踊るのに最高なハードロックです。
今時ここまでやるか!といった感じで、その首尾一貫ぶりに驚かされます。


●The Shrine / Primitive Blast Lecherous Gaze

あまり日本で話題にならないけど、こんな感じで痛快なハードロックな連中が出現しています。
他にも、ノルウェーからはトリプルギターの Kvelertak(クヴァラータク)が出現しています。
古いハードロックを知っているからこそ楽しく聴くことが出来るのかな?

そんなこと関係なしに、この痛快なハードロックを楽しんでもらいたいです。
気になったら、先ずインターネットで聴いたり、見たりして下さい。
窓はいつでも開いているんです。

2013/9/10

  原爆のライブ予定

今年、東京(関東)は9月15日で終わりです。
10月から、関西方面が多くなります。
11月に京大西部講堂、
来年1月に「お年玉GIG」を名古屋クアトロでやるので注目!



9月23日(月:祝)今池まつり  

10月12日(土)大阪 ファンダンゴ
FANDANGO 26回目の神経衰弱
共演:少年ナイフ、下山(Gezan)、他

Open18:00/Start18:30
Adv2,300円/Door2,800円(D別)
TICKET-8/17発売「ぴあ/ローソン/e+/FANDANGO
INFO-FANDANGO 06-6308-1621