第203回 PUNKの原点の巻 パンクロックはブルースロックに対する”アンチ”のものだった。 こんな基本的なことを、TELEVISIONは見せつけてくれた。 4月16日(水)TELEVISIONを見た。 場所は、名古屋・池下UPSET。 海外だと、まあまあ大きい会場でやるバンドだけれど、このライブハウスの雰囲気が良かったのか、面白いライブだった。 照明がうるさくないところや、音量も適度な大きさで彼らの生の姿に近接出来たのもプラスに作用している。 始まる前に、”3枚目のアルバム中心だったらどうする?”なんて無駄口をきいていたら、メンバーが入場して、ライブはスタートするかと思いきや、Tom Verlaineがチューニングスタート。 チューニングが長いのは先刻承知なので、みんな気長に待っている。 いきなり、3枚目のトップの曲でスタート。 まあ、何となく空気がつくられて行く。 これがライブの醍醐味だね。 ライブを見て一番感じたことは、ブルースに根ざしたロックでは無いということ。 ”ロックの基本は、ブルースだ!”ってよく言われるが、彼らには全くブルースの匂いがない。 まあ、あえて言うならば、サイケデリックな匂いなのだ。 これは、パンクを切り開いた人たちなんだなあと感じ入るところだ。 パンクロックはブルースロックに”アンチ”の姿勢を取っていたから、まさにその原点を見たような気持ちだった。 1970年代、彼らのライヴ・レヴューを読むと1960年代のサイケデリックなバンドの名前が比較対象としてよく挙がっていた。 当時は”パンク・バンドをサイケデリック・バンドなんかと比較するなよ”って思っていたものだ。 しかしこの日、ライブを見ながら思いつくバンドは… Moby Grapeであったり、 Quicksilver Messenger Serviceであったり、 Fifty Foot Hoseであったり、ほとんどサイケデリックなバンドばかり。 特に、Tom Verlaineのギターの音が出ると、”うー、John Cipollinaみたい”とか”Jorma Kaukonenか?”と思い浮かべる次第。 それでも、そのフレーズからは、ブルースの匂いは無い。 ここが、パンク以前のギタリスト達との決定的な違いがある。 一緒に見ていた奴は”第2期クリムゾンだ”と騒いでいた。 そういえば、Richard Lioydに替わって加入したJimmy Ripのカントリー・タッチの華麗で達者なギターワークはAdrian Belewのように感じる。 対極的な存在として、我を通すギタリストとして、Robert Frippと同じようにTomは見えた。 硬質でキテレツなフレーズを次々と繰り出すあたりも、両者は近いものがある。 電気的で金属的な音、”メタリック”なのだ。 もっとも、ヴェルレーヌと名乗っているだけあって、Tomはメロウでロマンチックなフレーズをソロで挟むんだけどね。 他には、やっぱりFred Smithのベースの音。 「Glory」で印象的なフレーズを紡ぎだすと、存在感が一気に増す。 「Persia」って言う曲の最初の音は、もう筆舌しがたい程、素晴らしい硬いベース音を披露。 この音があってこそ、Tomのギターの音が冴えるっていうもんだ。 Billy Ficcaのドラムだって、目立たないようにしっかり底を支えている。 要所要所でしっかり決めている。 それも、ロック的というよりは、パンク的だ。 この二人のコンビネーションがあるから、TELEVISIONになるんだな。 他の人がやったら、いくらTELEVISIONの曲をやっても、Tom Verlaine Bandになると思う。 正直なところ、過去の思い入れだけでTELEVISIONのライブに接したのだが、全く別の感慨を持って家路につくことが出来た。 あまりにありきたりだけれど、”PUNK LIVES”ていうこと。 ここは、かなり大きい! まあ、「Elevation」も「Venus」も「Marquee Moon」も「Prove It」も「Guiding Light」も「See No Evil」も「Little Johnny Jewel」も全部聞くことが出来たから、大満足なんだ。 じゃあね。 2014/4/21
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原爆のライブ予定
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