第230回
”今池まつり” の巻


なんやかんや言っても ”今池まつり” は、とびっきり面白い。

”今池” は、この地域のテレビとを見ると多くの名古屋市民から ”名古屋の恥部” って言われる場所なんだけれど、なんでなんだろう？

名古屋の繁華街と云えば、テレビ塔やデパートのある ”栄” と新幹線等の鉄道の駅がある ”名駅” が、２大商業地域だけど、普段着で遊びに行く場所ではないよね。

逆に、普段着で遊びに行く場所の代表の一つが ”今池” っていうことになるのかな。

まあ、私は名古屋に住んでいない者なので、栄だろうが名駅だろうが今池だろうが大須だろうが、どちらにしても”名古屋”に出かけていくことに変わりはないんだけどね。

そんな、普段着で遊びに行く街 ”今池” の商店街が、地域おこしの一環でやっている（と勝手に思っている）のが”今池まつり”だ。


商店街の ”まつり” なので、露店も多く、不思議な露店も当然のようにそこにある。

プロレスから大道芸から名古屋グランパスエイトの選手によるトークショーまで、数多くの催しが二日間にわたって行われる。

その、普通のお祭りになぜか ”今池パルチザン” っていう呼び名のライブ・ステージがあり、毎年の恒例行事のように出演する機会を与えてもらっている。

当然のことながら、”まつり” だから無料のライブだ。
あたりまえのことだが、どのような人でも自由に楽しむことができる。

よくロック・フェスのレポートで見かける ”老若男女” が、フェス・ファッションではなく普段着のまま、本当の意味で集っている。


今年は、タートル・アイランド、金子マリさん、バレーボールズと一緒だったのだが、我々の出演時間になると、それまでどうにか持っていた空が、こらえきれずに雨を降らしてきた。

タートルの時は素敵な風をステージに運んでいたのに、我々の時はステージ上は水浸しだ。

今年は台風直撃の予報もあり、ステージ上はテントで守られていたので、みんなで楽しむことに徹底だ。


この ”今池まつり” の面白さは、この場所に足を運んだ人じゃないと理解できないようなものだ。

小学生がステージ・ダイブを楽しむ。
こんなの、はっきり言って異常だ。

だって、地面はアスファルト貼りなんだから。
もし地面に直撃で落ちてしまったら大怪我で、病院行きは間違いない。

それなのに、親が平気でステージに子供を押し上げてくる。

なぜならば、このお祭りは、長年かけて作り上げた了解項目がたくさんあるからだ。

１．ステージ・ダイブしてきた人を必ず受け止める。
２．受け止めたら、後ろに送っていく。
３．着地させる。

みんな、不思議なくらいこの行動を守っている。

時々、ステージ・ダイブのやり方が分かっていない人が飛び込んでいるが、それでもステージ上から見ていると、みんな手助けして楽しんでいる。

映画「SALAD DAYS」を見ると、FUGAZIのメンバーが ”ステージ・ダイブをするな！” ってきつく言っているけど、今池のお祭り会場は ”還暦記念ダイブ” も歓迎なのだ。

下は、小学校に入る前の子供から、上は孫のいる世代まで、みんなこの場だけで通用するルールに慣れている。

”暴れるぞー！”って声をあげれば、一斉にスラムダンスしてしまうような場所だ。
”回るぞー！”って声を出すと、大きなサークルピットが出来てしまう。


実は、このような形が出来上がるまで、何年もの時間をかけている。

お祭りなので、アルコールが入っているのは当たり前で、来ている目的も種々雑多だ。

だから、”盛り上がろうぜ” なんていう気持ちのない人だっているわけだし、義理で来ている人もいる。

それでも、一度この場所の特別な空気に触れると、”もう一度” って思ってしまう。

これは、運営をしている人がみな、”楽しい雰囲気作り” を心がけているからこそだ。

「いきいき今池」を合言葉に、これからも、とびっきり面白いことを仕掛けてくれる、そんな街が　”今池”　だ。

私を含め、名古屋に住んでいない人も、楽しめるので、今から９月の　”今池まつり”　が待ち遠しくなっている。


毎年残念なのは、このとっても楽しい状況の映像が、あまり残っていないことだ。

まあ、イベントじゃなくてお祭りなので、記録なんてしないよね。

来年は多くの人に映像を撮ってもらって、多くの人に知らせてほしいな。

じゃあね。

2016/10/27

・・・・・・・原爆のライブ予定・・・・・・・