第236回
”5月3日は京大西部講堂” の巻



渡辺さんが作ってくれたタオルに印刷されているように、
the原爆オナニーズは”創業昭和57年”なので、今年結成35周年を迎えた。


今年(2017年)のゴールデン・ウィークは、日にちの並びがとても良く遠くに行くのにうってつけだった。
全国、いや世界中にいる”原爆アーミー”大集合っていう意気込みで、記念にライブができないものかと考えた。

うん、場所は東京ならば”法政学館”、名古屋ならば”芸音劇場”、関西ならば”京大西部講堂”かな。

この中で、我々のライブが出来る場所で残っているのは”京大西部講堂”だけだ。
どうせやるなら、ワンマンで思いっきりやりたいな。

京都大学西部講堂で”ワンマン”ライブを行うことは、かなりハードルが高い。

なんたって、貸しホールではないからだ。
ましてや、同窓生でもない部外者だから。

そのような状況で、”やりましょう”っていうことになったのは、奇跡に近い。
人とのつながりのありがたさを、これほどまで感じたことは、かつてなかった。

採算度外視の記念ライブなので、入場料も1,000円でやることに。


今回のライブは、近年京都でライブをあまりやっていないから、告知が難しかった。

かつてのように、アルケミーが大阪にあり、ビート・クレイジーが京都で活動していた頃のように、
3ヶ月に一度は京都でライブをやっているのとでは、全く状況が異なる。

その上、大阪も年に2回程しかライブをやっていない。
昔からの友に、告知を手伝ってもらうしかなかった。

まずライブハウスは、懇意にしてもらっている京都の磔磔、大阪は梅田クアトロ、キングコブラ、ベアーズ、ファンダンゴ、パンゲア、神戸はハーバースタジオと、チラシの配布をお願いしたところ、快諾を得て、半ば強引に多くの枚数をお願いした。

次は、口コミだ。

こちらは多くのバンドと関係する人たちが、自主的に告知を手伝ってくれた。

東京・名古屋はライブの都度、お客さんに ”5月3日は京大西部講堂”と声を揃えてもらった。
インターネットで大々的に伝えることをほとんど忘れていて、ひたすら20世紀型の地道な宣伝を続けた。

もっとも、ナタリーとヤフーがニュースで取り上げてくれたので、インターネットの世界でも告知が出来たことを付け加えなければいけない。


ライブ当日、5月3日は、今年のゴールデンウィーク中最大の交通集中が予測される日となった。
渋滞予測では、名古屋から京都まで100キロ近い予測が出ている。

こんな調子なら、一般道でうまくいったほうが早いかもしれないような様相。

”午後2時くらいまでに来てくれれば良いよ”と言われても、どうなるのかわからない渋滞でイライラするくらいなら、早く出発をして余裕を持っていたほうがマシだから、早めに出発することにした。

朝5時に起きて、6時集合、名古屋出発だ。

それでも、渋滞15キロとか出ている。とりあえず名神高速で行くことにして、一宮に向かう。
一宮のジャンクションで渋滞。高速に入っても、ノロノロ運転。

”早く出てよかった”。

岐阜県に入るとやっと高速道路のスピードに。
途中”事故車両”があり渋滞があったものの、午前9時過ぎに京都着。

京都に着いてから、ラジオの交通情報を聞くと名古屋から渋滞40キロと伝えている。
いつもの調子で9時に出発していたら、イライラの絶頂で京都に着くことになっていたことだろうな。


西部講堂に到着。

入り口に”UPP”のトラックが停まっている。
鍵が開いていないので、とりあえず朝食をとることにして会場を離れると、主催者から”いまどの辺ですか?”と電話があり”会場近くです”と応えると、”すぐに会場に行きます”と言ってくれる。

嬉しい限り。

午前10時頃に会場に入る。
前の日にスタッフが会場設営した痕跡がよくわかる。

PAは”Turbosound”のイカついスピーカーが並んでいる。
いかにも、1980年代〜1990年代に我々が西部講堂でよくライブをしていた頃の会場の雰囲気だ。

この辺りにも、今回のライブに関わってくれる人の心意気がビンビン伝わってくる。

今風のPAシステムで組めば、手間がかからないのに、いかにもかつての”自主コンサート”らしい会場作りにこだわっている。

午前11時少し前にUPPのスタッフが会場に来て、準備を始めてくれる。
舞台にドラム台を作ったり、アンプをセットしたり、着々と会場が出来ていく。

昼食休憩を挟み、午後2時過ぎからサウンドチェック開始。

音がでかい。

音の振動で、上からホコリが落ちてくるのは、西部講堂ならでは。
木造の建築物だから、当然のように”音漏れ”している。

東京から遠征してきた人によると、通りの向こうのかなり離れたところでも音が聞こえていたらしい。

午後3時頃から、オープニングの音作りをしてくれる、山中透(dumb typeの音楽監督)とナパーム(主催者)が打ち合わせをしている。
開場から一時間、今回のライブに新たな音を作りで参画してくれたのだ。


西部講堂の外に出ると、びっくりするような光景が。

ブルーシートを敷き詰め、酒盛りをしているではないか。

この昭和な風景を目の当たりにして、一体、今はいつなんだと思わずにはいられなかった。
近づくと、コンチのイソノ君はじめ、ビートクレージーの面々が揃っているではないか。
イソノ君が、持ってきてくれた昔のチラシをみんなで見ている。

この不思議な光景が、当たり前のような光景を見えてくるから、西部講堂は不思議だ。


開場時間が近づくにつれ、多くの人が集まってきた。
名古屋や東京からの遠征組も、次々到着だ。

いつもの調子で、会場の外で色々な人と雑談していると、知らぬ間に午後5時45分になっている。
午後6時に開場をしても、会場内に入ろうとする人はまばら。

この日のチケットは、「記念タオル」だ。

この”特別”チケットを持っている人は、自由に出入りできる。
なんたって、ひと目でわかるからね。


会場内では、オープニングS.Eの演奏が始まっている。
かなりいい雰囲気に持って行ってくれるような、その音は鋭角的でありながら人の温もりがある。
なんかワクワクしてくる。


あと15分で午後7時になる。
楽屋で、注意項目の連絡をどうしようか相談していると、開演時間がまじかに迫ってきた。
広島から駆けつけてくれた、俳優の三吉君と一緒に、まずは舞台でコントがてら色々な連絡項目を伝える。


午後7時、ライブスタート。
ここからは、一気にやるだけ。

35周年の記念ライブだから、普通のバンドならば”余興”を入れたり、トークセッションを入れたり、ある程度時間配分をするんだろうけど、我々はどこで休憩するとか、そんなことは一切決めていない。

自分たちがやりたいことを、全身で表現する。

誰かが気を抜いたら、そこでバランスが崩れてバンドは崩壊。
なんともスリリングな時間。


GoGO枯葉作戦でスタートし、No No Boy、なんにもない、What’s Upといつもの調子だ。

久しぶりにやったFallen Angelから
Society’s Child
Hide & Seek
Nuclear Cowboy
も当たり前の進行。

Time Is Tight、What Can I Do? と2曲、まだ録音していない曲をやって…

Psycho Murder
Temptation
Rat Trap
窓の外
飛び跳ねる
Overcome
Edge Of Time
因果連鎖
Primal Rock Therapy

と続ける。

照明は、色を使わず”白”だけで、パンクのライブらしく攻めてくる。
音響も、思っていた通りのゴリゴリしたものになっている。

普通のコンサートだったら10人近くいるであろう警備員も、今回は全く無い。

それでも、みんな平気でステージ・ダイブをしている。

当たり前のように、サークル・モッシュも。

パンクのライブの原点を確認しあっているかのような風景が、ステージ前で繰り返されている。

Teenage Wasteland
発狂目醒まし
Another Country’s
Down In A Flame
I Will

とたたみかける。

ここからは、ラストスパート。
Step Forward
Mind Breaker
Another Time Another Place

そして、ライブ最後はいつもの2曲
Underdog と What Have We Got? だ。


全29曲が終わったら、時間は午後8時30分を過ぎている。

アンコールの声がかかって、
GHQ、Dog Eat Dog そして、Life Is A Gamble で自滅。
午後8時45分終演。


本当に不思議な空間と時間が、この日の京都大学西部講堂にあった。

それは、様々な場所から駆けつけてくれた”原爆アーミー”の発する、自然体なパンクからだろう。

会場の片付けが終わったあとに、主催者が”パンクっていいね”って、改めて言ってくれたことは何物にも代えがたい。
うん、その通りだ。

”パンクっていいね”。


”5月3日は京大西部講堂”
会場に来てくれた人。
会場に来ることはできなくても、色々手伝ってくれた人。
みんなありがとう。
これからも、楽しもう。

2017/6/9

 

 

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・・・・・・・原爆のライブ予定・・・・・・・

8月27日(日)大阪 難波 味園ユニバース
BLACK LODGE FEAST OF BLOOD #4
共:S.H.I. 、BALZAC、マスターベーション、偶像ドロップ他
OPEN 16:00 START 16:00
前売り3,000円(消費税込み・ドリンク代別途)


9月9日(土)東京 
感乱射
共:MOSQUITO SPIRAL、Bomb Factory、-DJ-ISHIKAWA(DISK UNION/a.k.a.TIGER HOLE)
開場 18:30 /開演19:00
前売り 3,000円 当日3,500円(別途ドリンク代) 
*TICKET sale ... 2/11〜LAWSON TICKET,e+,ShowBoat
■問合せ:ShowBoat
03-3337-5745/info@showboat.co.jp
http://showboat1993.wix.com/showboat1993