第249回
”ロンドンは燃えている・最新型ロンドンパンク” の巻



今、ロンドンは燃えている。もちろんパンクで!
ロンドン(イングランドと言うべきかな)は、最近10年で最もパンクに火がついている。

バンドの数もかなり多い。
バンド名を挙げていくと、

FAT WHITE FAMILY
SHAME
IDLES
SAUNA YOUTH
SHOPPING
GOAT GIRL
SLAVES
SLEAFORD MODS
DREAM WIFE
EAGULLS
Frank Carter & The Rattlesnake

と、両手では収まらない。


最近たったひと月の間に、最新型のロンドン・パンクバンドのライブを二つ、日本で見ることが出来た。
いやあ、今”ロンドンは燃えている”から、日本にも飛び火して来そうだ。


一つ目は、DREAM WIFE。
何が素敵かといえば、このバンド、The Slits や The Raincoats に匹敵するような”ガール・パンク”なんだ。
90年代のRiot Grrrl の Bikini Kill とも同じベクトルだ。
“理想の嫁”っていうバンド名の彼女たちは、ラケル・ミョル(Vo)、アリス・ゴー(Gt)、ベラ・ポドパディック(Ba)の3人に、男性ドラマーが一緒にプレイしている。


実はライブを観なかったら、普通のガール・バンドという位置付けで終わっていたと思う。
今年のサマーソニックで、朝一番に出てきて、完全に度肝を抜かれた。

幕張で見たので室内の会場ということもあり、屋外で見ることの出来る大阪だともっと印象が違っていたかもしれないが、CDで聴いていた時とは全く違うヒリヒリしたパンクの音が耳に突き刺してくる。

そして、一番の魅力は、自分自身に正直で自由なところだ。

格好つけてポーズをとったりはしない。
しかし動きの一つひとつが、体の奥底から素直に出てきていることが伝わってくる。
それは、Siouxsie & The Banshees をロンドンで初めて見た時”なんて自由にライブをやっているんだ”と思ったのと同じだ。

ステージの真ん中で格好つけて歌うラケルは、目を離すと左の端にいるなんていうのは当たり前。
ギターのアリスは次から次へとリフとメロディを繰り出してくる。
ベースのベラは足を蹴り上げるように動き回る。

”やりたいからやっている”そんな雰囲気が、メンバー全員から溢れ出ている。

今まで来日した多くのパンクバンドがやっていたのと同じように、ちゃんと伝えたいことは、通訳をつけて日本語で分かりやすく伝える。


二つめは、IDLES。
こちらは、”怠け者”っていうバンド名を持つ、ブリストル出身のむさくるしい男5組だ。

ブリストル出身のバンドといえば、Massive Attack や Portishead が有名で、ダンス系のイメージが強いんだけど、私はパンク世代なんで The Cortinas に The Pop Group や Glaxo Babies を思い出してしまう。
もちろん、Chaos UK や Disorder も。


彼らのライブは、もうおったまげたね。
何しろ、メンバー5人が全員主役のステージは、76年にSex Pistols の動く姿を初めて見たときのような衝撃。

パンツ一丁のギターリストが会場内を大暴れするし、もう一人の長髪のギターリストもギターを持ったままステージダイブして来る。

ヴォーカルは、70年代のイギーポップのように、狂おしいほど汗まみれになってステージ上で寝転んだり回転したりと暴れまわる。

眼鏡をかけたドラマーは、重たいビートを反復するように叩き続け、一見Fucked Upのメンバーのようなヒゲとツルツル頭をしたベーシストも、ゴリゴリの音を出して来る。

自由奔放っていう言葉が、これほどピッタリするバンドは、本当に久しぶりだ。

それは、80年の The Pop Group を今目の前で見ているのではないかと錯覚してしまうほど。
それでも伝えたい内容は ”(意味)わかる?”って聞いて来て、覚えたての日本語で伝えようとする。
この辺りは、パンクバンドが本来持っているところだ。

終演後、会場を出たところにメンバーが居たので話しかけたら、若さとみずみずしい感じが溢れ出ていた。


最近イギリスに行く人(行った人)から、”ロンドンに行ってもパンクっているんですか?”って聞かれるけど、日本にいるような77年スタイルのパンクは居ないし、鋲ジャンにモヒカンなんてライブ会場に行って見かけても、地元の若い子たちは ”まだいるんだ” っていうような感じで、ヒソヒソと指をさしているような状況だ。
だから ”パンクは死んだ” かといえば、今のロンドンはパンクバンドに溢れていることは、今回見たライブで証明された。


11月にも SHAME が日本にやって来る。
77年当時にイギリスのパンクバンドがライブで日本に来ることは無かったから、いまの日本は恵まれている。

何しろ、話題のバンドが次から次へ来日してくれるんだから。
ライブを見逃す手はないと思うよ。


じゃあね。

2018/9/16


原爆のライブ予定は

11月3日(日)中津川 BIG DOOR
共: Firestarter 、Hateman 、Linus Jet Diner
     開場 18:30 /開演19:00
前売り 2,500円 当日2,500円(+1d500yen) 
    ■問合せ:BIG DOOR 0673-66-4423

11月17日(土)浜松 G-Side
      『G-SIDE 15th ANNIVERSARY SPECIAL』 
      THE STAR CLUB vs. the 原爆オナニーズ
       <DJ>YUICHI (ANGER FLARES)
      開場 18:30 /開演19:00
前売り 3,800円 当日4,300円(別途ドリンク代) 
      TICKETS : e+ http://eplus.jp 9/17発売
      ■問合せ:G-SIDE 053-541-5067
           http://g-side.net 

じゃあね、また。