第262回
”海賊艇K”の巻
個人的な、今年の夏いちばんの驚きは、”海賊艇K”からeメールが入ったことだ。
この名称を見て反応できる人は、今から40年前にインディーズなんていう名称になる前の自主制作を好きだった人だけだろう。
正直、ビックリを通り越して”エー ?????”っていう気持ちだった。
だって、面識ないんだもん。
もっとも、フジヤマの渡辺さんから事前に連絡があったのだが、まさか本当にeメールが来るとは思っていなかった。
メールの内容は、『都市通信』をCDとして自費出版するとのこと。
海賊艇Kの森未来も、いろいろな思いが多くの人の中にあることは承知していた。
なんたって、通信販売予約を取って、お金を払って予約をした多くの人が現物を受け取ることが出来なかったという、
前代未聞の不祥事を起こして、姿をくらましたのが40年近く前のことだ。
そんな彼が、時すでに遅しではあるものの、思い立ち、
”昨年秋口より収録バンドのメンバー及び代表者にひとりひとり謝罪し、
再発を了承頂き、現在ゆっくりとですが制作を開始しております。
本年秋口にCDとして自費出版、(流通業者は使います)にて再発売する予定です。
未届きの方には申告して頂き、無償でお渡し、
残った売り上げは全てバンドメンバーに渡す方式でリリースする所存です。”
というものだった。
また、森未来自身が、謝罪文をインターネット上で発表すると10月2日に連絡が来た。
”「都市通信」を制作し、
私が皆様の前から姿を眩ましてから、 40年近い歳月が経ってしまいました。
当時、御購入手続きをされていながら
商品が未届きの皆様にまず心よりお詫び申し上げます。
大変申し訳ございませんでした。”
そして、10月5日に謝罪文をインターネットで公開した。
私は、幸運なことに、『都市通信』のアルバムを偶然ライブ会場で購入して持っているので、海賊艇Kの被害にはあっていない。
DOLL増刊の”パンク天国 4”で、このアルバムのレビューを書いたことが、今回のeメールのキッカケだった。
そして、今回の再発にアルバム評を書いてほしいとの連絡だった。
こちらとしても、複雑な感情はあるが、まあ、好きなアルバムの力になれるならと思い、承諾した。
当初は、2019年の秋に再発する予定だったが、いろいろと進めるうちに時間が経過して、
2020年初頭にリリース予定になったみたいだ。
このような形で、日本の自主制作のアルバムが正式に再発されることもあるんだ。
再発音源がきちんと届きますように。
いつになく素直な気分だ。
2019/12/16
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