第263回
”2019年に聴いた音楽” の巻 2019年は、今まで入手できなかった音源のコレクションが忙しかった。 最大の収穫は、大好きな Tindersticks のセカンドシングル「Marbles」 の10インチ盤を手に入れることができたことだ。 アメリカ盤の7インチは持っているしCDで音源は持っているけど、やっぱり ”アナログ盤が欲しい” と、何年も探していたら、ついに我が手元に。 他には、Bob Segerの 『Bob Seger & The Last Heard / Heavy Music』(初期シングルのコンピレーション)と 『The Bob Seger System / Ramblin’ Gamblin’ Man』 の2枚。 デトロイトのガレージパンクからハードロックへの変化が分かって面白かった。 何と言っても、The Lazy Cowgirlsがやっていた「Sock It To Me , Santa」のオリジナルがBob Segerだったことがわかっただけでも大きな収穫。 その上、Bob Seger & The Last Heard のバージョンときたら、ワイルドでソウルフル、あまりの格好よさに昇天しちゃいそう。 この辺りは、マニアじゃないと分からない嬉しさだよ。 それでは、新譜で何を聴いていたのか? 不思議なほど思い浮かばない。 毎年、”これ聴いていたよ!”っていう作品が必ずあるのだが、2019年はすぐにリストを作るほど聴き込んでいないからだろう。 とはいうものの、恒例の洋楽リストを、2019年に新譜リリースされたもので。 Fountains D.C. / Dogrel (Partisan) 現在一番好きなIdlesのライブでサポートをしていたから気になっていたアイルランドはダブリン出身の5人組ポストパンク・バンドのファースト・アルバム。 2018年にファースト・アルバムを出したShameに続く、活きの良いバンド。 アメリカのバンドには出すことのできない、独特な湿りっ気が、ジェームス・ジョイスの小説を読みながら勝手に想像した、霧の街ダブリンぽくって、お気に入り。 アルバム最後の曲「Dublin City Sky」は、かつてThe Poguesを初めて聴いたときに抱いた感覚を、現代のギターサウンドで蘇らせているかのような斬新さがある。 The Murder Capital / When I Have Fears (Human Season) このバンドもIdlesつながりで知った、アイルランドはダブリン出身の5人組ポスト・パンクバンドのファースト・アルバム。 こちらは、Joy Divisionを比較に評価されることが多い。 「Green & Blue」なんて、ボーカルの歌い方がイアン・カーティスみたいだ。 個人的には The Soundの方がギターの音色やリズムにより近い雰囲気を持っていると思う。 初期の4ADが好きな人はきっとハマるはずだ。 Big Thief / U.F.O.F (4AD) Heron Oblivionのような、女性ボーカルのサイケデリックなフォークを聞きたいと思っていたら、このアルバムが登場してきた。 初夏の晴れた日によく聞いていたので、秋や冬に聞き込んだアルバムとは違う感覚が残っている。 空間を漂うな歌声は、初期のFairport Conventionみたいだ。 10月に、もっとロック寄りなアルバム『Two Hands』をリリースするなど、活発に活動している。 Tindersticks / No treasure But Hope (Lucky Dog) 年末ギリギリに出てきた、最愛のバンドの最新アルバム。 近年は、映画のサウンドトラック・アルバムやそれに準じたようなインストルメンタル中心の作品が多かったが、久々に歌ものをメインに帰ってきた。 かげりのある独特な雰囲気は、現在ヨーロッパ大陸で人気があることが納得できる、こもれびのような優しさを伴っている。 まあ、このバンドがこの音を出したら、一発ノックアウトだ。 The National / I Am Easy To Find (4AD) Tindersticksと同じように大好きなThe Nationalの8枚目のアルバム。 前のアルバム『Sleep Well Beast』 が刺々しくて良かったので期待して購入したら、今回は女性と一緒に歌うゴスペル的な雰囲気。 最初のうちは肩透かしをくらったような気分で馴染めなかったが、聞き込んでいくと次第に良くなってきた。 Nick Cave & The Bad Seedsの『Gohsteen』のように神々しい重さはなく、電子的な程良いバランスでポップなところが魅力。 まあ、個人的にはもう少しバンドらしさが強調されていると嬉しいんだけどね。 洋楽の新譜は、上記のようなものばかりを追っかけていた。 日本ものは、年初から当たり年だった。 バンド名とタイトルを。 sassya- / 脊髄 (Kerosene) NOWON / Pop Destroyed Pop (Hardcore Kitchen) Guitar Wolf / Love and Jett (Guitarwolf) Greenmachine / Mountains Of Madness (Daymare) SUTU / SUTU2 (Straight Up) 非常階段 / 乾為天 (Reveil) The Outbarn / The Outbarn (Cornucopia) Crocodile Bambie / Bloody Tree (Oceano) Dancebeach / Liquid Space Dischord (Impulse) Rocky And The Sweden / City Baby Attacked By Buds (Break The Record) Boris / Love & Evol (Third Man) 旧知のバンドが多いのだが、そのような中、全く知らなかった”sassya-”を知ることができたのは、大きな収穫。 日本にこれだけ格好良いバンドがたくさんいるから、海外のバンドは全く違うものを聴きたくなるよね。 今年も、年初から素晴らしいアルバムに出会えているから、年末にまとめることができるだろう。 じゃあね。 2020/2/27
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