第264回
”1977 The Year Punk Broke” の巻
私は、パンクのことを考えたり、パンクの音楽を聴いていると幸せだ。
いちばん楽しいのは、パンク熱に浮かされていた1977年のパンクシングルを聴いている時。
まあ、このうえない幸せを感じる。
何しろ、まだパンクに明日があって、熱に浮かされた奴らがガムシャラに情熱をぶつけているのが、その音から感じ取ることができるから。
1978年になるとパンクは終わって、ポスト・パンクになるから本当にパンクっていうやつはその熱にうなされていた時間は短い。
もっとも、ポスト・パンクこそパンクの精神をしっかり受け継ぎ、今の時代までパンクを生かし続ける原動力になっているから、そのような意味でパンクは死んではいない。
ハードコア・パンクやポスト・ハードコア・パンクも、その精神を受け継いでいるからこそ、パンクなんだ。
パンクの精神とは、”DO IT YOURSELF” だ。
さて今回は、イギリスのチェリー・レッドがまたもや出してきた、パンクの3枚組コンピレーションアルバム。
タイトルは ”1977 The Year Punk Broke” と、完全に私が幸せな気分になるためにあるようなパンクのシングルをメインに、87曲入り。
いつものことながら、Sex PistolsとThe Clashは入っていないので、勝手に「God Save The Queen」と「1977」を頭の中でで入れ込んでいる。
1枚目は、1977年1月リリースのBuzzcocks「Boredom」で始まり、1977年8月リリースのThe Exile「Jubilee ’77」で終わる27曲の約80分。
ポイントが高くなるのは、The Gorillas「Gatecrasher」とDeaf School「Capaldi’s Cafe」が入っていること。
とくにDeaf Schoolは後追いで聴いた人からすると、少し違和感を持つかもしれないが、彼らのセカンドアルバムは当時パンクとして受け入れられていたもんだ。
The Only Ones、Models、The Killjoys、The Nosebleeds 等々、シングルのB面の曲が多く入っているから、私には嬉しい限り。
当時パンクの2大レーベルStiffとChiswickからシングルを出していたMortorheadも違和感なく入り込んでいる。
2枚目は、1977年8月リリースのThe Boomtown Rats「Lookin’ After No.1」から、1977年11月リリースのThe Pleasers「Lies」まで31曲の約80分。
パンクマニアが喜ぶような曲の間に、Wreckless Eric「Whole Wide World」やTom Robinson Band「2-4-6-8 Motorway」が何気なく混ざっているところが、このディスクの良いところ。
それにしても、8月・9月・10月・11月の4ヶ月だけで31曲もあるっていうのがなんとも、”パンクの嵐”を感じることができるんじゃないかと思えてしょうがない。
もちろん、シングルのB面曲が多いから、文句なしだ。
どことなく、パンクからニュー・ウエイブというかパワーポップに変わってくさまを感じ取ることが出来るように作ってあるところがニクい。
3枚目は、1977年11月から12月までの25曲に、当時未発表の3バンド(Fruit Eating Bears、Hobbies Of Today、Drug Squad)を付け加え、最後に、企画ものパンクNorman And The Hooligans「I’m A Punk」(1977年2月リリース)を加えた29曲の約80分。
John Cooper Clarke「Innocents」で始まりRaped「Raped」までの25曲は、パンクのスピード感にあふれ文句なしだ。
The WaspsからNeon Heartsと続くところなんて、かつて自分が作ったテープと同じ並びなので、条件反射でついついポゴしたくなってしまう。
3枚を一気に聴くと、4時間かかってしまうけど、至上の喜びを得ることができる。
WireやThe Advertsが入っていないとか、欲を言い出すときりがないが、これほど素敵なボックスセットを作ってもらったんだから、素直に喜ばないといけないね。
あー幸せ!
2020/3/18
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