第268回
”失われた場所”の巻



ブリティシュ・ロックファンならば、一度はロンドンに行って聖地でライブを見たいと思うものだ。

ライブを見るならば会場は、モーターヘッドのライブでお馴染みの ”ハマースミス・オデオン(現ハマースミス・アポロ)” あたりだろうか。
それともクリームのフェアウェル・コンサートの ”ロイヤル・アルバート・ホール” かな。

今年は、新型感染症の影響で日本から海外に行くことができないから、妄想でいろいろなライブ会場を訪れるのもいいかもしれない。
なんたってインターネットの地図機能を使えば、その場所に簡単に行くことができるから。
ロンドンの目抜き通りオックスフォード・ストリートの ”100 クラブ”は同じ場所にあるから、地図で妄想して行くことが出来るし、会場内の写真も見ることができる。


私の世代で、一番有名なライブハウス、”MARQUEE” は移転に移転を重ねて、今は存在していない。
1964年から1988年までやっていた場所は、自身の思い出の場所ナンバーワンでもある。

行きたいと思ったのは、『Five Live Yardbirds』 を聞いた時だから、まだパンクを知るずーっと前のこと。

ジミ・へンドリックス、レッド・ゼッペリン、ジェスロ・タル等々多くのバンドがライブをやっているとミュージック・ライフで読んで知り、思いを馳せていた。

パンク期になって、Eddie And The Hot Rods の 「Live At The Marquee」 を聞いて、”ここに行くしかない!” と思い込んでしまった。
実際この会場で、1980年に解散前の Eddie And The Hot Rods を見ることができて、夢が叶った。
アンコールでストーンズの曲をやったので、涙ものだった。


とはいうものの、ロンドンの小さなライブ会場は、すぐに無くなってしまうから、どこにあるのかさえも分からなくなってしまう。

パンク世代にお馴染みの ”Roxy” は、地域が再開発されて、現在はスポーツ用品の店になっているから、昔の面影は全くない。

Roxy と同じコベントガーデンにあった “Rock Garden” なんて、今やアップル・ショップだ。


こんな調子で、”あのライブ会場はどこにあったんだろう?” と、ロンドンに行くと時々思うことがある。

そのような私の心を察したかのような本が、イギリスで出版された。

”LONDON’S LOST MUSIC VENUES” というタイトルで、著者は Paul Talling。
出版社は、パンクのレコードを現在進行形でリリースしている Damaged Goods。
セントラル・ロンドン、イースト、ノース、サウス・イースト、ウエスト&サウス・イーストの5つの地域に分けて、写真付きで紹介している。

移転に移転を重ねた MARQUEE も、最初にあったオックスフォード・ストリートから最後のコベントガーデンまで6箇所紹介されている(4番はカットされているけど)。

パブ・ロックを聴きながら、この本を読むとタイムスリップすることが出来る。

名古屋だって、昔のオープンハウスがあった場所は、駐車場になっている。

ライブ会場の思い出は、自分で写真を撮っておかないといけないなあ、と本を読みながら思った次第。

じゃあね。

2020/8/30

 

the 原爆オナニーズのキャリア初の
キュメンタリー映画JUST ANOTHER
10月24日から新宿K’s cinemaほかで劇場公開される。

the原爆オナニーズの映画”JUAT ANOTHER”が公開になります。
公式ホームページで確認ください。
https://genbaku-film.com/

・・・・・・・原爆のライブ予定・・・・・・・

ライブ情報は、変更があるのでバンドのホームページまで。