第275回
”1978 The Year The UK Turned Day-Glo”の巻
昨年紹介した、イギリス・チェリーレッド・レーベルの年次シリーズが出た。
今回は、1978年だ。
1977年のタイトルは”パンク爆発の年”だったけど、今回は”UKが蛍光色になった年”だ。
もちろん、X Ray Spex の「The Day The World Turned Day-Glo」のもじり。
CD3枚組79曲入り、各々約80分入っている。
1978年の特徴は、パンク熱にうなされた1977年から、ポストパンクに突入したこと。
なんたって、Sex Pistols は1978年1月にジョニー・ロットンが辞めてしまい空中分解。
残されたメンバーは、ブラジルにいる強盗犯のロニー・ビッグスを迎えた。
ジョニーは、5月に新しいバンドの結成を表明、Public Image Ltdがスタート。
1枚目は28曲。
パンク第2世代のアンセムと言うべき、Sham 69「Borstal Breakout」でスタート。
The Stranglers「5Minutes」〜999「Emergency」と、1977年の延長にあるパンクの名曲が続く。
個人的にテープを作ると次はThe Clash「Clash City Rockers」が並びで入ってくるんだけど、お決まりでThe Clashは無い。
その代わりにThe Doll「Don’t Tango On My Heart」とTubeway ArmyのシングルB面「Oh! Didn’t I Say」が入っているから、文句はない。
まだポゴができるスピードの曲が多い。
それにしても、The Vibrators「Automatic Lover」とかThe Only Ones「Another Girl Another Planet」、Boomtown Rats「She’ So Modern」等々、名曲が次から次へと出てくるから、やっぱりこの年も凄いな。
ポップなBoomtown Ratsの次に、ストリート・パンク色の強いMenace「I’m Civilised」を入れるあたりは最高だ。
Cyanide、Zones、Subsなんて、久しぶりに聞いた。
2枚目は26曲。
X Ray Spex「The Day The World Turned Day-Glo」で勢いよくスタート。
4曲目のThe Lurkers「Ain’t Got A Clue」まで一気にパンクな気分で駆け抜ける。
5曲目にフォークパンクのPatric Fitzgerald「The Backstreet Kids」を、そして6曲目にDead Fingers Talk「Nobody Loves When You’re Old And Gay」を入れてくるところがあまりにも素敵で、ここで完全にノックアウトされた気分。
7曲目は、解散後にTalk Talkでイギリスを代表するビッグネームになるが、この時点では Eddie And The Hot Rodsの弟分的な存在で、シングルを1枚だしただけのThe Reaction「I Can’t Resist」〜The Jamの弟分的存在のThe Jolt「I Can’t Wait」とビートの強いバンドが続くところも、モッズ・リバイバル直前の雰囲気が面白い。
このボックスセットを手に入れた当初、流して聴いていて一番ビックリしたのは、18曲目にUltravox!「Slow Motion」が入っていたこと。
普段は単独の作品として聴いているから気がつかなかったが、何しろこのビートの重さは時代を先取りしていたと今更ながら思った。
3枚目は25曲。
10月にリリースされたこの年一番最高なシングル、Public Image Ltd「Public Image」でスタート。
確か東京まで行き、下北沢の五番街で渡辺さんから、イギリス盤シングル(ジャケット無し)を買ったはずだ。
後になって、新聞紙のジャケット付きを手に入れたけど、思い出の一枚だ。
このディスクは10月から12月までの短期間なのに、Stiff Little Fingers、Scritti Politti、Johnny Thunders、Skids、The Fall、The Monochrome Set、The Jam、The Rezillos、The Cureと驚異の連続だ。
パンクの勢いを持ったまま、ポストパンクに突入していく曲が多く、ある意味3枚目が最も1978年の雰囲気を感じることができる。
このボックスセットに入らなかった、
The Clash「(White Man)In Hammersmith Palais」
Siouxsie And The Banshees「Hong Kong Garden」
Adam And The Ants「Young Parisians」
Buzzcocks「Ever Fall In Love 」
それに曲がダブルから入らなかったSham 69「If The Kids Are United」とか、Sex Pistols(というよりシドの)「My Way」を付け加えると、1978年が見えてくるかな。
あっそうだ、Joy Divisionもこの年にデビューだった。
最後に、余りにもマニアックな話になるので、本文ではあえて書かなかった話を。
それは、1978年から1980年までの短期間しか活動していないベルファストの”Rip Off”レーベルから、
Pretty Boy Floyd & The Gems
No Sweat
Blue Steam
Time Machine
の4バンドのシングルが入っている。
どのバンドもギターの音色・リフやヴォーカルの節回しに”少しだけThin Lizzy色”があるところが微笑ましい特徴。
地域性と言うべきか、レーベル色というべきか迷うところだが、面白い発見ができた。
パンクっていいなあ。
じゃあね。
2021/4/15
映画「JUST ANOTHER」
豊田市で上映決定。
日程|5/14(金)〜
劇場|イオンシネマ豊田KiTARA
お見逃しなく!
4/24(土)〜|神奈川・横浜シネマ・ジャック&ベティ
5/14(金)〜|愛知・イオンシネマ豊田KiTARA
●公式ホームページ
https://genbaku-film.com/
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