第277回
”ベスト・アルバムを選んでみよう
の巻


2020年春、コロナウイルスが蔓延して学校が休みになって、お店に”自粛警察”が貼り紙をしていた頃、インターネット上で ”私のベストアルバム10選” が流行っていた。

自分の作品のほかで、私のベストアルバムは決まっているので、いつでも10枚は出すことが出来る。

トップのDexy's Midnight Runners から10位まで即答だ。

だけど、枚数を50枚とか100枚にするとどうなるんだろうと思った。
実は、50枚くらいまでは結構簡単に選ぶことができたんだけど、見直すと”抜けている”アルバムが続々と出てくる。

それで、もう一度見直すと、やっぱり抜けが出てくる。

正直なところ、50枚だと1970年代と1980年代までのパンク・ポストパンクで埋まってしまい、1960年代のニュー・ロックや、1990年代以降のポスト・ハードコアは入る余地がない。
ましてや、2000年代に入ってすでに20年も経っているのに、その期間を”空白”にしてしまうのはあまりにももったいない。

先回書いた2010年代のパンクは、我がベスト10だと、トップのTouche Amore が入るだけ。
自分でもびっくりしちゃう。

ポスト・ハードコアには好きなバンドが数多くいるのに、60位以降にしか入ってこない。
聴きまくっていたスラッジ系のバンドも、後ろの方でかろうじて入る程度。
メタル色の強いものは、ほとんど入ってこない。

じゃあ、何が好きなのか。
簡単にして明瞭。

”パンク”なのである。


そこで、大きな疑問が。
”パンクってシングルでしょ!”

そうだ、パンクはアルバム単位で聴く音楽じゃないのだ。
好きなシングルだったら、100枚単位ですぐに出る。

”こんなシングル、知らない人にも聞いてほしいな”が、次々浮かんでくる。

あっ、これは幸せだな。

こちらのトップは、1976年の秋に初めて聞いた、Sex Pistols「Anarchy In The U.K.」だ。

この曲がなければ、パンクはプログレやパブロックのようにロックのジャンルの一部として接していただろうな。
パンクは”何か得体の知れない熱量のかたまり”と教えてくれたから、今でもパンク熱にうなされている。
それまでに聞いていた、アメリカのパンクとは全く別物に聞こえた。
なんて言ったらいいのかなあ。
アメリカのパンクって、中産階級の上の方の知識層ならではの、知的で醒めたところが魅力で、RAMONESやTelevision、The Modern Loversにチンピラ的なものは求めていなかった。

ところが、巻き舌で何を言っているのかさっぱり分からなかったSex Pistoleは、本当に衝撃的。
テレビで動く姿を見て、もう虜になるしかないと思った。


あれっ。
話が変わっている。


まあいいや。
今回は、”自分は自分”を教えてくれた、パンクに感謝。


じゃあね。

2021/7/1

映画「JUST ANOTHER」
豊田市で上映決定。
日程|5/14(金)〜
劇場|イオンシネマ豊田KiTARA
お見逃しなく!
<上映スケジュール>
4/24(土)〜|神奈川・横浜シネマ・ジャック&ベティ
5/14(金)〜|愛知・イオンシネマ豊田KiTARA

●公式ホームページ   https://genbaku-film.com/