第287回 ”パンク来るべきもの” の巻 今年になってから、古いパンクのアルバムばかり聴いていた。 Gun ClubとかThe CrampsとかThe Only OnesとかThe Modern Loversといった具合。 “やっぱりパンクはいいなあ”と、のんきなオヤジを決め込んでいたら、春先に、とんでもない新譜を手に入れてしまった。 そのアルバムはSOUL GLOの『Diaspora Problems』。 アメリカはフィラデルフィアの黒人を含む4人組バンドだ。 なにしろ単純に格好良い。 ジャケットも素敵だ。 内容は、21世紀のハードコア・パンクの魅力に溢れている。 ヴォーカルは何を歌っているのか、早口すぎて聞き取りができないほど。 (もう何十回も聴いているけど、毎回、歌詞カードとにらめっこしている) 時々聞き取れるところは、激しく社会批判をしていることがわかる。 Sex Pistolsを初めて聴いた時、まくしたてるジョニー・ロッテンが何歌っているのか分からなかった、あの感じ。 あっ、Bad Brainsを初めて聴いた時も同じような感じだったな。 ハードコア・パンクというと、1980年代のバンドばかりと比較しちゃうけど、どちらかといえば、直近10年のバンドと聴き比べてほしい。 感覚的には、TurnstileやDrug Churchが近い。 エンジニアは、Will Yipだから”いま”のロックの音だ。 Nothing、Turnover、Title Fight、Quicksand等々、なんたって、Will Yipが関わった作品は、ハズレがない。 そうだ、このアルバム、1990年代にメロコアで一世風靡したエピタフからのリリースだ。 そいいえば、話題のThe Linda Lindasも同じエピタフだから、何か時代が回ってきたのかな。 まさに”Shape Of Punk To Come(パンク来るべきもの)”を、21世紀の世界に展開している。 2022/6/20
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