第292回
”2022年に聴いた音楽” の巻

洋楽のロックって、いま流行っているのかなあ？と考えることの多かった一年。

流行っている音楽は、ビルボードのチャートをみると、ポップス・R&Bなんだよね。
ロックって、ほとんど隅っこのジャンルになっている。
いや、ロックは過去の音楽としての地位を確保していると言ってもいいのかもしれない。
The Beatles や Fleetwood Mac は、毎年売り上げ上位に入っている。
これってすごいことじゃないのかなあ。

一方、新しいもの好きの私は、どうしても新譜を聴いていたい。
それも、できれば若いバンドのものを。

2021年は 『 TURNSTILE / GLOW ON 』 が爆発的なヒットになって、パンクは息の根を吹き返し始めていた。

ひとつのバンドがヒットすると、次の年は連鎖反応で良いアルバムが出てくる。
2022年は 『 SOUL GLO / Diaspora Problems 』 がその代表例。

なにしろとびっきり格好良い。

1980年代初頭の、Bad Brains が甦ったかのような勢いがある。
聴くたびに、”よし、今日を乗り越えられるぞ！”って思える。

1977年夏に毎日Sex Pistols のシングル盤を何回も聴いていた時の、あの感覚だ。

それでは、他にどのようなものを聴いていたかというと…

● Wet Leg / Wet Leg
イギリス、ワイト島出身の女性二人を中心に結成されたバンドのファーストアルバム。ポップで楽しい。
　　
● Pip Blom / Welcome Break
オランダ、アムステルダム出身の男女４人組。
2019年の『BOAT』に続くセカンドアルバム。
清涼なサウンドは、閉塞したこの時代に気持ちよく響く。

● Life / North East Coastal Town
イギリス、ハル出身の男女４人組。
これはサードアルバム。
全く知らなかったバンドで、このアルバムで出会った。
80年代〜90年代のイギリスのインディーズ好きなら、どストライクなサウンド。

● Drug Church / Hygiene
アメリカ、ニューヨークの男性５人組。
2018年の傑作『Cheer』に続く、４枚目のアルバム。
期待を裏切らない2000年代のハードコアパンク。

● Yard Act / The Overload
イギリス、リーズ出身の男性4人組のファーストアルバム。
Gang Of 4、The Mekons、Delta 5、The Wedding Present等に連なる、いかにもリーズ出身らしい音。

● Dehd / Blue Skies
アメリカ、シカゴで結成された、男女3人組。
前作『Flower Of Devotion』(2020年)で出会ったバンドの、（多分）３枚目のアルバム。
ローファイな感じがとても良い。

● Horsegirl / Versions Of Modern Performance
アメリカ、シカゴで結成された、女性3人組のファーストアルバム。
アメリカン・インディーズ・ロックならではの気怠い感じがたまらない。
ついつい、Kendra Smithを思い出してしまう。


2022年は、このような感じです。

新譜じゃないけど、この２・３年の間にリリースされていたアルバムでやっと手に入れたものの中でも良いものがあったので、リストアップしておきます。
　
● Kowloon Walled City / Piecework（2021年）
アメリカ、サンフランシスコの男性４人組バンド。
４枚目のアルバム。
前作までのノイジーな感じのスラッジから、モグワイに近いようなギターの音に変化している。
心地良いヘヴィーサウンド。
　
● Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs / Viscerals（2020年）
イギリス、ニューキャッスルの男性５人組。
70年代のイギリスのヘヴィー・ロック好きなら、心の真ん中に突き刺さるような、Black Sabbath、Hawkwind、Pink Fairies直系のブリティッシュ・ハード・ロック。
　
● Wand / Laughing Matter（2019年）
アメリカ、ロサンジェルスの男女５人組。
初期はゴリゴリのガレージサウンドだったけど、メンバーチェンジしてサイケデリックな音に変化した５枚目。
例えるなら Opal から Mazzy Star への変化のよう。　


なんやかんやいいつつも、根っこにパンクがある音楽が大好きです。
今年はどんな音楽に出会えるかな。

2023/1/14