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2024年よく聴いた音楽 の巻


2024年は、新譜をたくさん購入した。

なにしろ新人バンド、Covid-19で活動が止まっていたバンド等々、2020年以降の世相を反映したかのように、多くの作品が出てきた。

また、デジタル配信が主流になってから、フィジカルはリリースがヴァイナル中心になりつつあり、一枚の購入単価がCDの倍以上になっている。

まあ、フィジカルリリースの流行は変わるものだから、扱いの便利なCDに戻るのかもしれない。

デジタル配信の利点は、私のような日本の田舎に住む人間でも、自宅ですぐに音源を入手できるところ。

これからは、好きなものを手軽に見つけることができることを楽しまないと。

世界は、確実に近くなっている。


さて、よく聴いた音楽の話をしよう。

いつものように、海外のものから。


English Teacher / This Could Be Texas (Island)

イギリス、リーズ出身の4人組のファーストアルバム。
2024年を代表するアルバムだ。
その証拠にマーキュリー・プライズ(英国もしくはアイルランドで最も優れたアルバムに対して送られる音楽に関する賞)を受賞している。
Black Country New Road以降のイギリスの音楽そのものと言っても良いような、複雑に絡み合うリズムをある種の清涼感を持ったメロディーが包んでいくさまは、このアルバムを何回も聴き返す原動力になっている。
私と同年代の人には、カンタベリー派の音楽のようで、素直に心に入ってくること間違い無いだろう。


Folly Group / Down There!(So Young)

 イギリス、ロンドンの4人組のファーストアルバム。
暗く落ち込んだポストパンクそのものというような曲と、思わず踊りたくなるようなリズムを用いた曲が、違和感なく入っているところは、Talking Heads(2nd 〜4th)を彷彿させる。
10曲入りのこのアルバムは、ひとつひとつの曲に魅力があり、全体を聴き終わった時に、統一感を感じることができる不思議な作品。
1979年から1983年頃のポストパンク好きにはたまらない音だが、忘れてはいけないのは、懐古趣味ではなく2024年の音楽ということ。


Idles / TANGK(Partisan)

 我が大好きなIdlesの5thアルバム(ライブアルバムは除く)。
正直なところ、初めて聴いた時、全くピンとこなかった。
内省的すぎてイマイチだなあという印象が強かった。
何回も聴いていくと、聴き手に対して”いつまでもファースト・セカンドにこだわるなよ”って訴えているかのように聴こえてきて、いつの間にお気に入りに変化していた。
かつての彼らは、怒りと団結がその原動力にあったが、今は連帯と友愛がメインになっている。
変化を恐れない姿勢を、穏やかに諭しているかのようで、相互に理解しようと努めることの大切さを教えてくれる、いいアルバムだ。


Personal Trainer / Still Willing(Bella Union)

 オランダの7人組のセカンドアルバム。
Truck Festivalで観なければ、全く知ることのないバンドだったかもしれない。
オランダの大所帯バンドというと、1970年代のGruppo Sportivo(再結成している)を思い出すが、より今日的なポップ感覚がこのバンドの魅力。
とはいうものの、60年代のポップサイケ風味あふれる曲やメローなフォークテイストの曲から、ニューウェーブな曲まで、ごちゃ混ぜで多彩だ。
リリースしているレーベルBelle Unionの他のバンド(Midlake等)に通じる、どこかつかみどころのない複合した音楽性が、このバンドにもある。


Fat Dog / WOOF(Domino)

 イギリス、ロンドンの5人組のファーストアルバム。
中東風なメロディーに、DAFのように、これでもかと言った具合に押し寄せるエレクトリックビートが魅力。
いかがわしさ満載の楽曲は、難しいことを考えずに楽しく踊ると、この作品の良さがわかるはず。
この混沌とした感覚はライブを体験しなければ分かりずらいと思う。
一番わかりやすい例を挙げるとすれば、”おどるポンポコリン”のインチキおじさんかな。


Bob Vylan / Humble As The Sun(Ghost Theatre)

 イギリスのパンク・デュオの3枚目のアルバム。
ふざけたような名前(ボブ・ヴィラン)なので、気になっていたけど、ライブを観たらぶっ飛ばされた。
”話50%、曲50%”のライブは、分かりやすい言葉で扇動しているため、イケイケな気分で知らぬ間に彼らの術中に入っていた。
今は、便利な時代で歌詞はすぐに手に入るし、日本語に訳すのも容易なので、このロックなラップを、歌詞を楽しみながら聴くと、より良いと思う。


Soft Play / Heavy Jelly(BMG)

 イギリスのパンク・デュオの4枚目のアルバム。
2022年に名前を変えるまではSLAVESとして活動していたので、知っている人も多いと思う。
「Punk’s Dead」は、テイクザットのロビー・ウイリアムスが参加していることで話題になった。
フォーク調の、アルバム最後の曲「Everything and Nothing」は素晴らしい。
この二人が次のステップにどうやって進んでいくのか楽しみだ。


NewDad / Madra(Atlantic)

 アイルランドの4人組のファーストアルバム。
いわゆるシューゲーザーな音。
ロックフィールド・スタジオで録音しただけあって、いかにもプロな作りになっているが、他のスタジオで録音したら、もっとザラザラした手触りのインディーな音になっただろうなと思わずにいられない。
曲も雰囲気も良いので、何度も聞きいているが、ライブで魅せたふわふわとした感触がもう少しあったら完璧だったな。


The Mysterines / Afraid Of Tomorrows(Fiction)

 イギリス、リバプールの4人組のセカンドアルバム。
ファーストアルバム『Reeling』のグランジ色の強い「Life’s a Bitch」が大好きで、セカンドはどうなるんだろうと思っていたら、重く、今風のロックに良い意味で変化している。
Truck Festivalで観たライブも、ロック色が強かった。
これからどうなっていくんだろうと楽しみにしていたら、あっけなく解散してしまった。
重っ苦しいゴスの雰囲気がある曲が多いので、これからも聴き続けるだろうな。
何しろ、ヴォーカルの Lia Metcalfe の声がとてつもなく良い。


Gouge Away / Deep Sage(Deathwish)

 アメリカ、フロリダの5人組、ハードコア/ポストハードコア・パンクバンドのサードアルバム。
コロナ禍にバンドは一時期休止状態にあったらしいけど、全く知らずにアルバム最後の曲「Dallas」のPVを見て、新しいアプローチをしていて楽しみにしていたら、前作『Burnt Sugar』を軽く超えるような、激しさと多様な曲に溢れていて驚いた。
Drug Churchと同じようにPixiesの影響下にあるが、こちらは、シューゲーズ的なニュアンスもあり、よりポストパンク色が強いところが他のバンドと一線を画している。


Koyo / Would You Miss It ?(Pure Noise)

 2023年リリースの作品だけど、2024年になってから入手したので、オマケとして。
2020年結成のアメリカ、ニューヨークの5人組、エモ・メロコア・ポップパンクバンドのファーストアルバム。
GlassjawやTaking Back Sunday以降のバンドならではの激情系で、いろいろなバンドで聴いてきたようなイメージがある曲が多いにも関わらず、”紅葉”って名乗っているだけに、「Message Like A Bomb」のように哀愁のある曲が彼ららしさを出している。
アルバムのジャケットも秀逸なので機会があったら見て欲しいところ。


他にも、いろいろあるけど、別に機会で。


日本のものは…


佐藤幸雄とわたしたち / わたしたち3

島キクジロウ& No Nukes Right / Dance In Love

極東ファロスキッカー / Meta 浪漫 Sonic

Bacara / Bacara

WETBLACK / WETBLACK


こんな感じで、2024年はいろいろ聴いていました。

今年も、年始早々、”HEEL”のアルバムが出たから、聴きまくっている。

楽しみな一年になりそうだ。


じゃあね。

 

2025/2/1




ライブの予定


3月15日(土)下北沢CLUB Que
「LOVE 69 SYMPATHIZER Vol.5」
 出演:極東ファロスキッカー
        
the 原爆オナニーズ
         暴動クラブ
OPEN 18:00 / START 18:30
前売 ¥3,900 (+ドリンク代) / 当日 ¥4,400(+ドリンク代)

4月12日(土)下北沢FLOWERS LOFT

 「REBEL BANQUET Vol.13」 

出演:the 原爆オナニーズ 

         OLEDICKFOGGY 

         島キクジロウ&NO NUKES RIGHTS

 DJ :HIDETO(the WILD ROVER)

       DJ.z 

       higo-vicious(RISK )

OPEN 18:30 / START 19:00

前売 ¥3,500 (+ドリンク代) / 当日 ¥4,000(+ドリンク代)

■イープラス購入ページURL https://eplus.jp/sf/detail/4241500001-P0030001


5月04日(土)京都 磔磔

騒祭2025」

出演:the原爆オナニーズ

   キノコホテル

   騒音寺

  開場 16:00 /開演 17:00

  前売り 4,000円、当日4,500円(別途ドリンク代) 


5月05日(日)大阪 梅田 クラブ・クアトロ

「GATHERING 2025」

出演:the原爆オナニーズ

   THE TRASH

   BULL the DOUGS

   RAPES

   S∴h∵i

   INCAPACITANTS

   山本精一+津山篤

   S×O×B

DJ: NAKATANI/MINAMI/SHIGA-CHANG

開場・開演 14:00

前売¥4,500 (+ドリンク代)

※ぴあプレリザーブ独占先行発売(抽選):2/1(土)10:00〜2/15(土)23:59


よろしくね。