ある女の話

とある年下の女が夢をあきらめた。

別に挫折したとか、そういうレベルのものではなく、ただちょっとうるさくいわれたとか、現実的な話をされたとか、その程度。

何かを始める前から、飛びたつ前からあきらめた。

悪足掻きも、無駄な抵抗もなく、だ。

その程度の、安い夢を、数ヶ月前に俺の前で、大層なことのように語ったのか。

腹が立つ。

そんなもん、大事にすんな。

しかもあっけなく捨てやがって。

夢を追いかけているオマエは、馬鹿みたいだったけど可愛かった。

一回くらいはセックスをしてみたいもんだと思ったが、いまのオマエにはそんな気もおきない。

虫酸が走る。

悪いけど、一生懸命に仕事をしている風俗嬢の方が、よっぽど高貴だ。

俺の前から消え失せろ。

あー、やだやだ。

若いからって甘えんなよ。

テメエの人生なんか、現在過去未来、一度も羨ましいと思わない。

2002/10/30


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