↑Gとありますが、連載Hです。お詫びして訂正致します。

高熱の話

約二週間、高熱とお付き合いした。風邪をこじらせてしまった。それでも仕事はしないと、と珍しく使命感なんぞを持って解熱剤(座薬)をぶち込んで対談したり原稿書いたりしていたのでよけい悪化した。

病院いけ。保険証なくても。

今回経験した最高記録は41度。まあ体温を常に測定している訳ではないのでこれ以上のときもあったのかも。よく死ななかったな、自分。

病は気から、というけど病で気が…、ということもあると痛感。

精神状態までおかしくなった。
仲のいい人に対して殺意を抱いたり、夜中に突然泣き出したり。

そのあと引越しのゴタゴタまであったので本気で精神が疲弊した。不安神経症を患っている友達がこっそりくれた抗不安剤にどれだけ救われたか。その前にちゃんとした風邪薬飲め。

結局、薬も飲まず、仕事もせずに三日寝続けたら完治したのだが、その間、高熱によるわけのわかんない幻覚(悪夢?)には苦しめられつつも楽しませてもらった。

いくつか列記する。

電気コードが集まって球形になった物質、象くらいの大きさがある。そこに自分は肩まで巻き込まれている。それがウニやナメクジのようにじわじわ、じわじわと蠢きどこかに行こうとしている。

自分はただ何も考えず(所謂、無感動無関心の状態。鬱病が悪化するとこうなるらしい)ただ外の景色を見ている。

荒地に数件の民家があった。

うろうろしていると知らない人がいっぱいいる。聞けば「鶴岡」という人間、つまり私自身の肉体を管理している人たちらしい。

理屈はよくわからんがこちとら熱で脳が茹だっているのでなんとなく納得してしまう。

ふと「男性器担当の人は誰ですか」と尋ねると「私です」と薄汚れたタオルを頭に巻きつけた老人が出てきた。私は「あんた更迭」といった。

これは夢ではない。電車の中で突然涙が止まらなくなった。

悲しくて悲しくて仕方ない。理由はよくわからない。周囲の人間に気付かれないように顔を下に。

ちょっと内省的になって涙の原因を考えてみた。当然脳は茹だっている。

考えた結果「悲しいのは自分がマリリン・マンソンでも水木しげるでもないから」という結論に至った。

いまになってシラフの頭で考えると、どうしてこういう結論に至ったのかまるでわからない。

みなさん身体だけは(出来たら心も)お大事に。

2003/11/3