第2回 

 「で、まあこのペイパービュウの口述コラム”やすしくん、HI!”がどーいった内容になるのかというと、とかく俺ら芸人の日常から、切っても切り離せないものってのが”酒”なわけだよ」

 「お酒は好きです!全日本プロレスくらい好きです!」

 「基準がよくわかんねーよ。でも一晩でホント飲むよなぁ」

 「たいてい朝まで飲んでます」

 「朝までコースの場合は、酒量が”合”とか”升”のレベルじゃないもんな。”斗”だよ”斗”!!!」

 「アメリカ風に言うと”ガロン”です」

 「特にペイパービュウはコンビ活動の他に、ユニット活動も多いから、毎月の打ち上げの回数が多い」

 「二人しかいないのに、ハロー!プロジェクトぐらいユニット活動が多いです」

 「西口プロレス、漫才バカ一代、アニメ会、それに知り合いのライブ、個人的な飲み会、晩酌とか合わせたら、もんの凄いスケジュールだよ。まさに殺人スケジュール!」

 「でも仕事のスケジュールは真っ白です」

 「芸人としての仕事は何ヶ月にいっぺんあるかないかなのに、飲み会だけは一日2ステージ、3ステージがあたりまえ。肝硬変予備軍だよ」

 「肝臓がフォアグラです!肝臓は切り取ってもまた生えてくるので、これでひと財産を築けます!」

 「その金でまた飲んじゃってな、夢の永久機関だよ。とまあ、そんなヘビー・ドランカーな芸人たちの、酒の上での失敗談をどんどん語っていこうという、そんな連載なわけだ」

 「なるほど!友達の芸人のみっともない話をネタにして、ふた財産目を築きます!」

 「お前が人のこと言えるのか! いきなり仰天エピソード持ってるくせに」

 「あれは驚きました! 今年の夏のある飲み会で、ものすごくお酒を飲んだ時がありまして」

 「お前がなんか知らないけど、めちゃくちゃゴキゲンだったんだよな」

 「はい。で、結局つぶれちゃいまして、全然記憶がないんですけど、気づいたら家でした」

 「俺がタクシーで家まで届けたんだよ。で、俺もそのままお前ん家に泊まったんだけど、布団が一組しかないから」

 「さんぺいさんは図々しく、僕が寝てる布団に便乗して寝てました」

 「誰が家まで送ってやったと思ってるんだ!」

 「で、なんか違和感を感じたんで目を覚ましたら、隣にさんぺいさんが寝ててビックリしまして、見たら、さんぺいさんが全身ビッショリ汗かいてて、髪の毛もビシャビシャなんですよ」

 「それ見てお前はどう思った?」

 「この暑い夜に怖い夢でも見たら、人間誰でもこんな汗をかくなと思って、大きな心で布団を汚したさんぺいさんを許したんですが、よく見たら僕も全身ビッショリ汗かいてて、髪の毛もビシャビシャなんです」

 「不思議な話だよな」

 「あれー、おかしいなと思ってよくよく調べたら、体中から強烈なアンモニアの匂いが立ち込めてまして」

 「汗なのに?ますます不思議な話だよ」

 「で、よーく考えてみたら、僕、トイレでおしっこした夢を見てまして。これを総合して、いろんな角度から事態を分析して考えてみると.....」

 「お前が寝小便したんじゃねえか!! 俺はあの時何もかもが信じられなかったよ!」

 「一組の布団でおしっこまみれになるなんて、どんなコンビですか!」

 「俺のセリフだ! しかもありゃ1回で出る小便の量じゃねえよ! 布団が水分で膨らんでたもん」

 「よーく考えてみたら、僕、夢の中で5回トイレに行ってまして」

 「途中で起きろよ! 象が水浴びしたみたいな状態なってんだから! しかもお前、俺に罪をきせようとしてただろ」

 「慌てて三平さんを起こして、頭ごなしに叱りました」

 「俺も寝起きだから、状況がわかんなくてさ「三平X2ともあろうお方が、いい歳しておねしょって、意味がわかりません!」って言われて。今にして思うと、その叱り方も意味がわかんないんだけど」

 「あの時は必死でした」

 「でも、どうみても、お前の寝てたとこ中心に水害が広がってんだよ。しかも俺トランクスは全然濡れてないし」

 「悪事はすぐにバレました」

 「でも俺が一番驚いたのは、お前の「こんなの高校の時以来です!」って発言だよ。高校まで寝小便してたのか?」

 「してました! でも、言っておきますけど、高校の頃のおねしょはお酒飲んでなかったんで、本当のおねしょですよ!」

 「いばるとこ間違ってるよ!」

2002/11/28


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