第6回 |
我が家では、途切れたことがないくらいに、いろんな動物を飼った。 夜店のヒヨコは何匹も殺したし、夜店の金魚も何匹も殺したし、ウサギも水をやりすぎて殺したし、炎天下にカメを置き忘れてひからびさせて殺したし...って、殺した話ばっかでは人としてどーでしょー、ってことになりますね。 ある日、我が家でモルモットを飼うことになった。なんでモルモットを飼うことになったのかは、あまり記憶にない。多分アパートだから猫は飼えないとかなんとか、そんな事情だったんだと思う。 とにかくモルモットは金で買われて我が家にやってきた。 子供がさわりたがるから、と夜はモルモットを部屋に放して運動会をさせ、子供をダシにして実は自分がいちばん喜ぶ、という母親のやり方はいつもと同じである。 モルモットはその逆虐待によく耐えて、部屋中を走り回った。そのころモルモットにはまだ名前がついていなかった。...と、突然、窓に向かってモルモットはフィーーーフィーーーフィーーーー!!と、声高らかに鳴いたのである。 我が家のメンバーは全員、生涯初めてモルモットの鳴き声を聞いた。そしてその時から彼には「ふぃふぃちゃん」という名前がめでたくついたのであった。(ちなみに、オーヤン・フィフィはその後でデビューしたのです。うちではふぃふぃちゃんがテレビに出てる!と人気者だったのです。) だいたい何の動物を飼っても、うちの母親は餌をやりすぎる。やりすぎて殺してしまう。しかし、このモルモットはこの逆虐待にもよく耐え、どんどんどんどんでかくなり、とうとうモルモットとは思えないバカでかさになった。 普段入っているケージの中には当然うんちがコロコロ。ウサギのうんちに似ている。しかし、うちの父親はウサギを飼ったことがなかったらしい、当然ウサギのうんちもモルモットのうんちも見たことがない。ある日仕事から帰ってきてケージをのぞき、「ほ〜、こりゃ、なんの木の実を入れてやっとるんや?」と言った。子供ごころにその台詞は、なにかしらあわれで、「お父ちゃん、それ、うんちやで」とは言えない私であった...。 ふぃふぃちゃんはそんじょそこらのモルモットよりもずいぶん長生きし、老衰でこの世を去った。なんだ、一生面倒みることもできんじゃん!って話ですよ!
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