第7回
初体験のクワガタ


夏といえば男の子は虫捕り!というのはどの男性にとっても同じなのだろうか。

女の子で虫捕りに必死になっていた子は、私の記憶の中では皆無だ。
私も例外ではなかった。それが、こんな年になってからクワガタを飼うことになろうとは思わなかった。
マンションの壁に貼り付いていた雄が1匹、地面を歩いていた雌が1匹。
突然なんの前ぶれもなく、我が家にやってきた。

飼い方がわからないので、元虫好きにご指導ねがい、ドンキーで、虫かごとか、木屑とか、木の幹とか買ってきた。

驚くのは、虫用のペットフードを売っていたことだ。蒟蒻ゼリーみたいになっていて、木の幹の穴にすっぽり入るように出来ている。これは、セットで買えってことなんだね。とにかく入れる物さえないんだから、しょうがない。

全部セットで買ってきた。ペットフード(って言うんだろうか?)というのはある意味便利で、なくなったら補充するだけだから、砂糖水みたく手がかからない。
雄と雌を一緒のかごに入れると卵を産んでしまって雄は死ぬというので、番であるにもかかわらず、2匹は別居状態。可哀想だけど、卵から幼虫が出てくるのも私はとっても恐いので、別居で我慢してください。

動物というのは飼うと何でもかわいいね。毎日虫かごの様子を見るのが楽しみになった。ちなみに雄はわっくん、雌はブータンという名前です。

しかし、事件は起きるのだ。

元気のよすぎるわっくんは、夜になると暴れてバキッ!バキッ!と音をさせていた。と、ある日様子を見ようと虫かごを覗くと、かごの蓋の部分でわっくんがじーーーーーーっとしている。いつもはさわるとつのを広げて怒るのに、じーーーーーーーーーっとしている。いや、足だけは怒りを表現するかのようにもぞもぞと動いている。えーーー!?つのは虫かごの蓋部分にすっぽりとはまって、泣こうとわめこうと(はたして泣いたりわめいたりしていたかどうかは不明だが)取れなくなっていたのだ。

やっぱり虫は頭が悪かった。

虫かごの棒を1本カッターで切り落として、わっくんは自由の身になったのだった。
しかし、事件は続く。約1週間ずつ間をおいて、あと2回、わっくんは全く同じ状態に陥った。

やっぱり虫は頭が悪かった。

3回目はさすがにあきれて、救出前に記念写真を撮ってやった。わっくん、あなたの一生の恥が今ネットで流れていますよ。



2003/8/6


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