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#6 |
その三合目・・・マジカル・パワー・マコ
大海も一滴の水から始まる。
先日、マジカル・パワー・マコに遭遇した時、マコさんは満面の笑みを浮かべて「何事も地道な一歩一歩の積み重ねだからね」と言われていた。
去年の事になるが久しぶりに体験した事が二つある。
一つは、釣りでもう一つはプロレスを見に行った事。
思い込みというのは恐ろしい。とくに、自分が経験している事に対しての思い込みは。事象は常に変化しているし、それに対する自身も常に変化しているのだから。
釣りは下関に行った時に13年ぶりにしたのだが、針の結び方からリール操作、竿のさばきかた、全てがしどろもどろで、そんな自分が信じられず「おれ誰?」状態。あんなにも得意で子供の頃からあらゆる釣りを高校ぐらいまでやり抜いてきた自分がまるでド素人になっているなんて。
やる前は「でっかいチヌでも釣ってやるか」ぐらいの意気込みだったのだが、なかなか釣りにもならないぐらいあたふたして、それでも徐々に没頭していき、アホみたいに集中している自分に気づいた時、なんだか気持ちよかった。何にもなくて。
波が高くなってきたので周りの釣り人も帰り、一緒にやっていた叔父も道具を片付けたが、おれはお構い無しで続けた。
陽が海に消えかけていった時、ヒット。こぶりのチヌを。叔父が「執念で釣ったね」と一言。晴れ晴れとした気分。
やり遂げ結果を出した充実感。
やっぱり最後は勝たないとな。
プロレスもほんと久しぶりで、かれこれ17年ぶり。ヘヴンズドアの堀さんが全日の30周年記念興行に連れていってくれた。
小学生の頃は試合の当日に新聞専売所に行って勧誘に使って余った立ち見チケットをただでもらって何十回も見に行った。
特に全日本。リングサイドの招待席が空いていると勝手に座って見てた。当時は会場は大人の来るところで酒臭っかったしヤニ臭っかった。入場してくるレスラーの背中に触れただけでヒーローの気分。悪役レスラーなんか、まじで恐かったし悪かったもんなー。客にも一切容赦しなかった。何度殺られそうになった事か。だけどこんなのは思い込み。
17年ぶりのプロレスは俺にとっては奇妙なものっだった。
まず客層が決定的。「ここは秋葉原か?」てな感じだった。
なんだかオタクぽくて。俺は浮いてる気分。空中浮遊。とりのこされた人。試合の方は面白い試合もいくつもあったが基本的な動きがまともにできずに大技ばっかりやる選手が多く、俺はしらけるのに会場は盛り上がる。おれは空中浮遊。
ねちっこい気迫のこもった素晴らしいグランドをやっているとオタクが「プロレスできねーのかよ!立ち技やれよ!!」と。
「普段いいたい事も言えない人なんだろうなー」と思いつつも「てめー何にも分かってねーな」ってそいつを野次ってやろうと思ったが、ほかの客もみんなそんな感じだから俺は空中浮遊。はてしなく。俺がオタクか。
だけど、『ジン・キニスキー』の登場がそんなことをどうでもよくしてくれた。70を過ぎてるというのにあの矍鑠とした姿。存在感。リングにいるどの若いレスラーより強そうで恐そうで悪そう。本物のワル。こんなこと思ってるのもあんまりいないんだろうなと思った。だって『ジン・キニスキー』が入場してきてもあんまり盛り上がってなかったし。
俺がオタクだと思っている人たちが、そこではオタクじゃなくて、俺がオタクだった。
てなわけで、、、、。何だかこれを書いてるうちにホントに自分がオタクのような気がしてきた。
☆
とにかく1月22日のヘヴンズドアのライヴは、思い込みとか捨てたアホな集中力を発揮して大いに楽しむか!!
『赤色102号+マジカル・パワー・マコ』でやるんだからな。
2003/1/16 |