live memoly #4  

非常階段

日本において、ノイズ=ヴァイオレンスなどという定説を根ずかせたのが「非常階段」だと思っている人は多い。確かに破壊に恍惚は一体にして究極美ではあるが、非常階段の有り方はもっとインテリだ。
サイキックTVだか、TGだったかの来日ライブを中野公会堂で1986年にやった時の印象は私の中で薄い、第一、バンド名すら忘れてる。対バンした非常階段の研ぎ澄まされた静寂美にうっとりして、彼らのパフォーマンスの印象しか今となっては思い出せない。美川君の発信機がこの世の音とは思えないうるささで、我慢すること5分、と、俄然気持ちよくなってなにかに救われた気分になる。爆音が静寂の境地に辿り着く。今でいう「癒し」ってやつか?ゆかちゃん(現 わがままな月)が轟音バックにしゃぼん玉ふわふわ吹かして、そりゃあ美しかった。

ところで、非常階段の後にやったバンド、あれはサイキックTVだったか、TGだったか、それすら思い出せない。

ノイズの懐の深さを、自由を、音楽を、現代美術をも、見事に越えて見せてくれた。
 
text 渡辺正 2001/6/27

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