第8回 嶽本野ばら

すっかり文筆家として「乙女派」の巨匠になってしまった野ばらちゃんですが、私のライブ企画に出てもらった時(1993年頃)のソロ・パフォーマンスは見事だった。

軍国歌謡宝塚乙女派の面目躍如。

田原俊彦の「哀愁デイト」の100倍良いと私が吹聴してた、野ばら名バージョン「ダムダム・デイト」をロックファンに見てもらいたくて、当時まだ大阪にいた彼に、わざわざ来てもらって渋谷のラ・ママでやった。

パンクのファッション性とヨーロッパの退廃が嶽本野ばらの日本人的解釈によって表現され、眩しいくらいに美しいステージだった。

強さ弱さ、悲しみ、反抗といった人間の原初的なモノの本質を、練られた「野ばら美」にまで昇華させたあっという間の20分だった。

2002/3/21


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