猫がのそりのそり歩いていた。

ひらりと小さな塀の上にのぼるとまた のそりのそり。
近所の飼い猫だろうか。それとも野良猫だろうか。

野良猫はよく見かけるのに野良犬なんて滅多に見なくなった。
猫って飼い猫でも結構野放しにしてあるのに、犬はどうしてつながれてるんだと思う？

今年度のオリンピック開催地であったアテネは野良犬が多いらしい。
いやあれは野良犬ではなく 放し飼いだとの説もあるが。

ともかく犬がうろうろ。

オリンピックで訪れる多くの関係者や観光客に対して、何か粗相を働いたりイメージが悪かったりすると困るから捕獲した方がいいんじゃないか という問題が一瞬持ち上がったが、「アテネの犬たちは人によく馴れていて とてもいい犬ばかりです。アテネを訪れる皆さんはきっと犬たちをかわいがってくれるでしょう」という美しいアテネ市長女史の一声で問題は治まったそうだ。
ギリシャ人は動物好きの大らかな民族なのかもしれないと思ってしまったひとコマ。

ところが五輪開催間近になって、外国人記者が野良犬に噛まれる事件が勃発したとかで、急遽捕獲作戦が決行された模様。土壇場になるまで動かないのがギリシャ人気質だと聞くが、これでは大らかどころか大狸なんじゃないかと疑ってしまうワン（犬談）。

しかし五輪閉会後にはまた元に戻すとの話なので やはり単なる犬好き民族なのかも。ちなみに狸は食肉目犬科。
オリンピックもパラリンピックも終了した今、町に犬は戻っただろうか。

猫がのそりのそり歩いていた。ふと見ると首に輪っかが。その輪っかには紐がつないである。紐の先は人間がしっかと握っている。紐でつながって歩いている猫と人間の半歩先を犬が歩いている。犬は何にもつながれていなかった。

やれやれ世の中にはいろんなカタチがあるもんだにゃ。

2004/10/11