第302回
”2023年 新しく聴いた音楽”
の巻
2023年。 ささくれだったような気分の日が多かった。
中学生のような、高校生のような、そんな感じ。 そのような気持ちから、安らぎを求めているはずなのに、聴いていた音楽はバラツキが激しい。
毎年のように、今年になってから入手した音源のなかで、お気に入りを紹介しておこう。 まずは、洋楽から。
SCOWL / Psychic Dance Routine (Flatspot) 今年の最もお気に入り。
アメリカ、カルフォルニア州サンタ・クルーズの5人組ハードコア・パンクバンドの5曲入りEP。 全部聴いても10分。
この作品からギターが一人加わっている。 いわゆるハードコアのイメージに近い曲から、かなりポップな曲までバラエティに富んでいるところが特徴。
制作に Will Yip が関わっていることからも、進化したハードコア・パンクの姿を見て取れる。
ステージでは蛍光グリーンの髪を振り乱し、ミニスカートにブーツスタイルのヴォーカルの Kat Moss
(女性)がインタビューで男社会のパンクシーンについてコメントを多発しているところは、頼もしく思う。
ギルマンでライブをやる目標を達成し、日本でライブをやりたいと発言をしているので、早くやって来ないかなと、楽しみにしている。
LANKUM / False Lankum (Rough Trade)
アイルランドの4人組フォーク・グループのサード・アルバム。 このグループを初めて聴いた時に思ったのは、COMUS 『First
Utterance』 と Third Ear Band『Alchemy』に、SUNN O)))を加えたような感じと思った。
本作は、セカンド『The Livelond Day』 と比べると、よりドローンが強まっており、ロック寄りな雰囲気が強い。
元々パンクをやっていたメンバーがいるため、音の肌触りがパンクスならではのものがある。
GRIAN CHATTEN /
Chaos For The Fly (Partisan) Fontaines
D.C.のヴォーカルのファースト・ソロアルバム。 バンドとは異なり、フォーク的な落ち着いたソングライティングに重きを置いた楽曲が9曲。
強いていえば、Nick Drake が近いかな。 なにしろ”声”が良い。 Tindersticks や The Walkabouts
を連想するような曲もあり、ゆったりとした心地にしてくれるアルバム。
HAMISH HAWK / Angel
Numbers ( Post Electric) スコットランド、エジンバラのシンガーソングライターのサード・アルバム。
よく聴いていた、セカンド『Heavy Elevator』(2021年)と比べるとマイルドな印象、そこがちょうど良い雰囲気になっている。
「Bridget St. John」っていう曲が入っている。
GEL / Only Constant
(Convulse) アメリカ、ニュージャージーの女性二人を擁する5人組ハードコア・パンクバンドのファースト・アルバム。
ハードコア・パンクのアルバムは ”こうあって欲しい” をすべてぶち込んだような、最高なアルバム。 なんたって、10曲入りで18分。
GEMMA ROGERS / No Place Like Home (Tiny Global)
ロンドンの女性シンガーのデビューアルバム。 2022年のリリースだけど、2023年になってやっと入手できた。
連想しやすい音としては、Madness、Squeeze、The Raincoats あたりと、Amy Winehouse や Lily
Allenをミックスしたような感じ。 ある意味とてもイギリス、それもロンドンならではのポップさを伴っているところが、この作品の魅力。
DRAIN / Living Proof (Epitaph)
SCOWLと同じ出身地の4人組のハードコア・パンクバンドのセカンド・アルバム。
聴いていると、知らぬ間に体が動いてしまうような、痛快なほどハードコア・パンクしている。
聴き進むと、パンクの名曲として誰でも知っているような曲(Descendentsの「Good Good
Thing」)が出てくるあたりに、このバンドの良さが滲み出ている。
THE MURDER CAPITAL /
Gigi’s Recovery (Human Season) アイルランドの5人組ポストパンクバンドのセカンド・アルバム。
ギリギリのところで、ざらついたインディーな音になっていて、やっぱり、いかにもイギリス(といってもアイルランド)らしい、少しゴシックの入った暗い音にひかれる。
VENOMOUS CONCEPT / The Good Ship Lollipop (MCR)
シェーン(B:ナパーム・デス)とケヴィン・シャープ(Vo:Exブルータル・トゥルース)がやっているバンドの5枚目。
293回で書いた通り、今のヘヴィーミュージックを体現している。
先入観なしで聴くと、あまりの格好良さに卒倒するかも。 前向きな姿勢が、伝わってくる。
BOYGENIUS /
The Record (Interscope) 泣く子も黙る超メジャーなアルバム。
フィービー・ブリジャース、ジュリアン・ベイカー、ルーシー・ダッカスの3人がはじめたバンドの、ファーストアルバム。
どう聴いたって、これが今年のベストアルバムに選ぶべき作品の一つなのは明白だけど、入れておかないと、後年どうして入れなかったんだろうと思いそうなので。
洋楽は、こんなところかな。
DREAM WIFE JEFF ROSENSTOCK SQUID
QUEENS OF THE STONE AGE
もよかった。
日本のバンドは、
SWARRRM / 焦がせ (3LA) AZARAK / Diggin’ (Hello From The Gutter) HEEL /
不良少女の謳 (悪の華) NEPENTHES / Grand Guignol (Daymare) TECHNODRACY /
Poison Gift (Guerrilla) KILLERPASS / あるいていこう(Kili Kili Villa) OAU /
Tradition (Tactics) SLACKED STATE / 37 Tracks E.P. (3654) DOTRASH /
Dotrash (Hardcore Kitchen) VA / Disco Charge 2023 (Hardcore Kitchen)
プラス特別に STAR CLUB / No Rival (Hoteless)
SWARRRMは、斬新な作品で、完全にノックアウトされた。
全てが、最新形だ。
AZARAKは、ついに出来上がったアルバム。
感覚的に、今の海外のバンドと同じようなベクトルにあり必聴。
HEELは、ここまですごい作品を作るとは。
初期 Dangerhouse の Avengers や Alley Cats と同様のインパクト。
NEPENTHES
と TECHNOCRACY は、合同でレコ発ツアーを行なっているだけあり、その重さが魅力。
KILLERPASS は、今までよりも一皮むけた感じ。
OAUは、ストイックな感じがする上、スケールアップ感もある。
SLACKED STATEは、びっくり仰天。 大好きなオーバン並み。
これ以上の褒め言葉知りません。
DOTRASH は、パンク好きな私にピッタリ。
VA / Disco Charge 2023
は、自分のバンドも入っているけど、現時点の日本のアンダーグラウンドというか、パンクの進行をタイムリーに収めている。
特別な作品は、
STAR CLUB の1978-1979 BOOTLEG NO RIVAL。
しょっちゅうライブに行っては、メンバーと仲良くしていた時期。 親衛隊気取りで、”こんなバンドになれば” なんて、勝手にほざいていた。
まだバンドをやる気は全くなくて、”パンクは思想だ” と説いていた頃。
1979年後半、バンドが短期に急激に変化していった時は、ゾクゾクして歓声をあげていた。 思い出深い。
以上が、今年のお気に入りの作品。 現時点でまだ聴いていない作品もたくさんあるので、追加が出てくるんだろうな。
じゃあね。
2023/12/17
ライブの予定。
2024年
2月11日(日)
名古屋 クラブ・クアトロ 『お年玉GIG 2024』
2月17日(土)新大久保 アースダム
3月10日(日)名古屋 ハックフィン
まだ続く!
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”JUST ANOTHER” DVD (\4800+税) 発売中。
●フジヤマ特典
メンバー直筆サイン入りの映画上映告知チラシと
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●公式ホームページ
https://genbaku-film.com/
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