第306回 ”リズムに身を委ねる” の巻
突然、パブロックにハマった。
理由は、2020年夏にチェリーレッドが出した70年代ロンドンのパブロックシーンに焦点を当てた『Surrender To The Ryhtm:The
London Pub Rock Scene Of The Seventies』 というタイトルの3枚組CDを聴き直しているからだ。
同時に手に入れた、『1978 The Year The UK Turned Day-Glo』 は、275回(2021年4月)で紹介したように、購入と同時に何回も聞いていたが、こちらはあまり聴かずに棚に入れたままになっていた。
だから、初めて聴いたのと同じような感覚で新鮮だ。
1977年、10代のパンクロック・ファン(パンクス、パンクロッカー)にとって、”パブロック入っているよね”っていうのは、なんとなく年寄り臭いロックの代名詞だった。
髪の毛をツンツンにして、チェーンに安全ピンに剃刀で完全装備していた頃、ポゴできない音は否定の対象だった。
合言葉は ”No
Elvis、 Beatles、Or The Rolling Stones” なので、一つ上の世代のロックは、”Boring(つまんねえ)”
の一言で片付けていた。
なんとなく、アメリカの The Band
をお手本にして、ロックンロールを混ぜた土臭いロックなんて聴いていられるか、っていう気持ちが支配していた。
何しろ、”Your
Generation Don’t Mean A Thing To Me(あんたの世代は、俺には何の意味もない)” な訳だったから。
10代のパンクロックファンも、知らぬ間に20代に突入する1978年にポストパンクの時代に到来した。
その音作りの特徴は、サイケもレゲエもダブもスカもR&Bもジャズもシンセも、ポップもごちゃ混ぜになった。
こうなると、信条としていた ”No Elvis、 Beatles、Or The Rolling Stones” が崩れ去っていく。
否定の代名詞として使っていた ”Sex And Drugs And Rock’n’Roll” が復活してしまう。
パンクロック・ファンの時に、受け入れていたパブロック・バンドもあった。 Dr.Feelgood、The Count Bishops、The
Gorilas、The Piratesはその代表格だ(Eddie And The Hotrodsはパンクバンド扱いだった)。
スピード感あふれるタイトなロックンロールは、パンクの原点として認知していた。
とはいうものの、実際のところ、The
Damned、The Adverts、Radiators From Space を出していたから ” パンク専門レーベル”
と勝手に思い込んでいた、StiffとChiswick がリリースするバンドは ”パンク扱い” していたので、Nick LoweやElvis
Costello、Tyla Gang、Roogalator、101ers、Motorhead は
”パンク” として聴いていた。
この辺りの区分は曖昧で、自分の好きな音は全部パンクにしていたから、線引きはほとんどない。
さて、この3枚組の面白いところを紹介しよう。 なんたって、Status Quo、The Sensational Alex Harvey
Band、Thin Lizzy、Mott the Hoople、The
JAMといった国民的人気バンドがパブロック扱いになっているところが一番楽しい。
それも何の違和感もなく収まっているから、パブロック恐るべし、っていう感じだ。
日本では、ハードロック、プログレ、グラムロック、といった具合に細分化されて紹介することで、わかりやすくなっているけど、イギリスの人にとって、パブで聞くバンドは、パブロックになるんだろうな。
もし、日本編集なら、Deep Feeling や Writing On The Wall
なんてプログレに分類するから、この作品に入りっこないんだけど、そういったバンドが入り込むのも面白いところ。
マニアの人は、Dire
Straits の Mark Knopfler が参加していた Brewers Droop や、Elvis Costello
がソロになる前にやっていた Flip City の曲が入っているから、押さえておきたくなるかもしれない。
個人的に嬉しかったのは、National Flag が入っていたこと。
The Faces
の小型版というか、Strider、Stray、Heavy Metal Kids の弟分的なハードロックバンドが、Kilburn And The
High Roads に続いて登場する。 しかも1枚目の最後に。
決して一流になれないノリノリのハードロックこそ、パンク直前のブリティッシュ・ロックな雰囲気があり、感慨深い。
Legend「Cheque Book」 から The Inmates「Dirty Water」
まで、71曲入った3枚組を4時間かけて聴き終えると、色々なアルバムがレコード棚から出てきている。
バンドごとに ”リズムに身を委ねる”
としよう。
じゃあね。
2024/5/19
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