渡辺正 連載コラム #27 フジヤマで売ってないレコードたち。
いい思い出ひとつ。 人を好きになって結婚、その初夜なに聴く? 彼女の天使のような囁きのほか聴くべきものは無い、なんて気取るんじゃない。キザもほどほどにしてください......。映画のワンシーンじゃないんだから。でも、実はそれが一番だけど、そこまでいくのにお互いに気分を盛り上げたいもんだ、もんだのもんだよしのり。ってくだらないな、いつも。 20代の結婚だったから随分前になるけど、思い出したら恥ずかしくなったが、告白タ〜イム! 新婚初夜には、ってこの「初夜」という響きがなんか淫靡で笑うなぁ。ま、仕方ない。この「初夜」でお気に入りの音楽を二人だけで聴きたかった、と考えるのは果たしてキザか。淫靡か。勿論ほかにする事は淫靡上あるから、音楽にひたりきってはいけない、その音楽で論争しようものなら初夜台無しだ。 スイートで気持ちいいが、邪魔にならない音楽。これには、なにがいいだろうと考えた。聴くのは、ショボイカセットレコーダーでなくちゃダメ。ホテルの部屋でポータブルなカセットレコーダーのショボイ音にマッチする音楽。しかもラブソング。更にふたりが気にいってるものでなくちゃだめ。 ホテルの部屋は豪華で、東京の夜景は綺麗だが、自分たちの出発はなるべくショボイほうがカッコイイ。 結婚式の2次会から、当時勤めていた東北新社の仲間達が初夜会場である新宿京王プラザホテルの部屋までついて来るじゃないの、まあ楽しいから了承したら、おしゃべりに夢中になってしまい何だか疲れてしまった新婚さんふたり。 みんなが帰ったあと、そのままバタンとベッドで眠ってしまった。 考えに考えぬいた末にカセットにダビングした「フラミンゴス」の音楽は聴かれる事はなかった。 でも、天使の囁きは聴いた。大好きなフラミンゴスだけど、この日はやっぱ「天使の囁き」の勝ちでしょう。 2002/1/18 |